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トランプ大統領が打ち出す政策によって世界の自由貿易体制は揺らいでいます。大国が自国の国益を最優先し、勢力圏ごとに世界を分け合う構図は「ヤルタ2.0」とも呼ばれています。こうした新たな国際秩序の中で、日本はどう立ち回るべきなのか。地政学・経済安全保障を専門とし、各国政府や企業に助言を行うオウルズコンサルティンググループの菅原淳一シニアフェローに、JBpress編集長の細田孝宏が聞きました。2回に分けてお届けします。

(取材日:2026年1月28日)

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大国が世界を分け合う「ヤルタ2.0」

——オウルズコンサルティンググループのレポート「2026年地政学・経済安全保障クリティカル・トレンド」で、菅原さんは「近づく『ヤルタ2.0』と『頼れない米国』」という見方を打ち出しています。どういう意味ですか。

菅原淳一・オウルズコンサルティンググループシニアフェロー(以下、敬称略):「ヤルタ2.0」という言葉自体は、ここ数年使われてきました。第二次世界大戦後の「ヤルタ体制」になぞらえ、大国が中小国の利益をあまり考えず、自国の国益を最優先して世界を統治していく体制を指します。

 具体的には、米国は西半球、中国はインド太平洋地域、ロシアは欧州周辺といった形で、勢力圏ごとに世界が分かれていくという見方です。トランプ大統領は2025年12月に公表された国家安全保障戦略(NSS)でも、西半球を重視する姿勢を鮮明にしており、トランプ大統領自身、いわゆるトランプ版モンロー主義を「ドンロー主義」と呼んでいます。ベネズエラへの介入もその一環だと見られます。

 さらにトランプ大統領は、明確に「米国の兵士の命と税金を使ってグローバルガバナンスを支えることはしない」といった趣旨の発言をしています。実際、パリ協定からの離脱や、多数の国際機関からの脱退表明を見ても、「無駄なお金は使わない」という姿勢が鮮明です。

 かつては「世界の安定が米国の国益」という広い国益観がありましたが、今は「短期的に米国が得をするかどうか」という極めて狭い国益観に変わっています。その結果、世界各国から見ると「もはや米国には頼れない」という現実を突きつけられています。