
トランプ政権が関税政策などを相次ぎ発表し、マーケットを翻弄しています。トランプ関税などが景気後退を招く「トランプセッション」という言葉も登場。インフレと景気後退が同時に起きる「スタグフレーション」の懸念も強まっています。トランプ関税による景気悪化懸念で米国・日本の株式相場が大きく下落するなど、警戒感が高まっています。今後、景気や株式市場はどうなるのでしょうか。なかのアセットマネジメントの中野晴啓社長に聞きました。(全編はYouTubeで公開中)
(>>後編:米国株一人勝ち終了、「ポンコツ日本株」は大化け?新NISA2年目の試練、「投資はハート」「債券投資は不要」のワケ)
「トランプ・プット」は幻想、米国一人勝ちは終了
——今後の世界経済を見る上で外せないのが「トランプ関税」です。トランプ政権による経済への影響をどう見ますか。
中野晴啓・なかのアセットマネジメント社長(以下、敬称略):現在のマーケットはトランプ米大統領の朝令暮改な発言に踊らされている状況です。関税政策などは口先だけで、今後政策を軌道修正して株価を下支えするだろうという「トランプ・プット」という言葉がありましたが、今や幻想になっています。
どの程度の規模になるかはともかく、一定の関税政策を実行することはトランプ氏の絶対的な政治コミットメント。株価が崩れようがトランプ氏は自分のやりたい政策を実行していくと考えておいた方がいいでしょう。第1次政権時に株式が上昇基調となった「トランプラリー」の再来をマーケットは期待していましたが、その期待は急速に萎んでいいます。
トランプ第2次政権の方針ははっきりしています。戦後の国際協調といった世界秩序を抜本的に壊そうとしています。そしてトランプ政権の一連の政策は米国経済をインフレに導くことは間違いありません。米国が堅調に経済拡大してきた時代が終わるのではないでしょうか。