トランプ米政権の関税措置が世界の経済やマーケットを翻弄しています。9日に発動した相互関税は直後に一部の国・地域に対して90日間の停止を発表。まるで暴走しているかのようなトランプ政権に対して、石破政権はどう向き合うべきか。そして、相互関税の先行きやトランプ政権の権力構造の読み解き方などについて、経済産業省(旧通商産業省)で対米通商交渉を務めた経験を持つ明星大学教授の細川昌彦氏に聞きました。3回に分けてお届けします。(取材日:2025年4月8日)
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出遅れる石破政権、電話会談は効果なし
——トランプ政権による関税が発動され、世界各国が相次ぎ報復関税や交渉を本格化させています。その中で石破政権の対応をどう評価しますか。
細川昌彦・明星大学教授(以下、敬称略):一言で言うと、遅すぎです。石破政権は無為無策だと国内で批判受けてから、やっと重い腰をあげて4月7日に電話会談をしました。
2月7日の首脳会談から関税問題はずっと重要な課題だったにもかかわらず、4月7日まで1回も電話をしていなかったのは大きな間違いです。

3月の武藤経産相の渡米で埒(らち)があかなかったのであれば、首相自ら乗り出していくのが本来のリーダーのあるべき姿ではないでしょうか。インドやベトナムのリーダーなどもすぐに電話会談をしています。こうした各国の動きを見ると、日本は緊張感があまりにも足りない。
——2月の日米首脳会談は波乱がなかったということで評価する見方もありました。