
トランプ関税の警戒感から世界のマーケットが揺れ始めています。これまで米国の株式市場を牽引してきた巨大テック企業が軒並み下落するなか、次に有望な企業をどう見つけるか。なかのアセットマネジメントの中野晴啓社長に聞きました。(全編はYouTubeで公開中)
(>>前編:「トランプセッション」と「プラザ合意2.0」で日本株は大暴落?どうする日銀、1ドル120円が日本経済には健全な水準)
トランプ関税が米国株大崩れの引き金に
——トランプ関税に翻弄されているマーケットですが、現状の世界の株式市場をどう見ていますか。
中野晴啓・なかのアセットマネジメント社長(以下、敬称略):米国市場が割高になりすぎている一方、日本やヨーロッパは割安、さらに新興国のマーケットに至っては「スーパーバーゲンセール」の状況が長く続いてきました。この米国経済の安定した成長トレンドにトランプ政権が強制的にメスを入れたような状況なので、米国の株式市場にまとまった調整が起きるのは当然でしょう。
ただ歴史的に見ても米国株は転換点にあります。米国のPBR(株価純資産倍率)は4.5倍に近づいていますが、このレベルに至れば後に必ず大きな調整が起きます。きっかけを作ったのはトランプ大統領ですが、トランプ政権でなくても米国株の下落は起きていたことでしょう。
中でも米国市場を牽引してきたテック企業7社「マグニフィセント・セブン(MAG7)」の下落が顕著です。トランプ要因だけでなく、DeepSeek(ディープシーク)などテクノロジーを持つ中国企業の存在も大きく、こうした企業をリプレイスしていくかもしれないという見方もあります。
さらに近年テックで伸びてきた米国ですが、トランプ政権が強くしたい業種は鉄やエネルギー、自動車といったオールドエコノミー。長期的には強い米国は変わらないと思いつつも、景気後退の波が来る中で、特に株価が反応せざるを得ないのは極度に高くなりすぎたハイテク株でしょう。
——米国市場の下落は日本市場にどう影響するでしょうか。