中国・上海で開催された半導体の展示会「セミコン・チャイナ」にASMLが出展したブース(資料写真、2025年3月26日、写真:CFoto/アフロ)
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(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)

中国がEUVの試作機を開発

 ロイターは2025年12月18日、中国がEUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外線)による露光装置の試作機を開発したと報じた(「中国の半導体版『マンハッタン計画』、最先端チップ製造へ試作機完成」)。この開発の中心には、ファーウェイの存在があるとみられている。現在、EUV露光装置の量産機を出荷しているメーカーは、オランダのASMLのみである。

 同記事によれば、ファーウェイは古い世代のEUV露光装置を入手し、それをリバースエンジニアリング(製品を分解し、構造や製造方法を解析する手法)することで、独自のEUV試作機を製造したという。その過程では、元ASMLの技術者を高年俸で雇用していたとも伝えられている。

 7nm以降の先端ロジック半導体の製造には、現在ではEUV露光装置の適用が不可欠となっている。しかし、米国政府の要請を受け、2019年以降、ASMLは中国向けのEUV露光装置の輸出を停止してきた。このため、中国の半導体メーカーは、先端ロジック半導体の量産において大きな制約を受けてきた。

 この米国主導の輸出規制が近い将来に解除される可能性は、ほとんどないと見られている。こうした状況の下で、ファーウェイは3年ほど前から、中国版EUVの開発に着手していたものと考えられる。そして、その取り組みが、2025年にEUV試作機に結実したのだろう。

 では、ファーウェイはEUVの量産機を製造することができるのだろうか。その問いに答える前に、そもそもなぜEUVの量産機の開発がこれほどまでに困難なのかを整理しておく必要がある。以下では、まずEUVの開発から量産適用に至るまでの歴史を振り返ることにしたい。