今年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で同社の次世代GPU「ルービン」を掲げて説明するNVIDIAのジェンスン・フアンCEO(1月5日、写真:ロイター/アフロ)
目次

 米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)の主力AI半導体「H200」について、トランプ米大統領が中国への輸出を条件付きで容認する方針を打ち出してから約1カ月が経過した。

 売上高の25%を米政府へ納付することを条件とした異例の「取引(ディール)」により、輸出への道が開かれた。これを受け、中国市場では旺盛な需要が顕在化。エヌビディアは増産を迫られている。

 その一方で、米議会からは「国家安全保障の切り売り」との批判が噴出。中国側も国産品保護のために新たな条件を模索するなど、米中双方で波紋が広がり続けている。

需要超過で増産打診、中国テック大手の渇望

 英ロイター通信によると、中国企業による2026年に向けたH200の発注数は既に計200万個規模に達し、同社の在庫(約70万個)を大幅に上回る。

 不足分を補うため、エヌビディアは製造委託先の台湾積体電路製造(TSMC)に対し、2026年4~6月期からの増産を打診した。

 1個当たり約2万7000ドル(約420万円)の高値設定ながら、供給が追いつかない異例の事態となっている。

 アリババ集団や北京字節跳動科技(バイトダンス)といった中国のテクノロジー大手が、相次いで大規模購入の打診を行っている。

 H200は、エヌビディアの最新鋭チップ「Blackwell(ブラックウェル)」の1世代前のアーキテクチャーに基づく製品。

 だが、これまで中国向けに性能を大幅に制限して輸出されていた「H20」と比較すると、約6倍の演算性能を持つとされる。

 トランプ政権の狙いは明確だ。最先端のBlackwellや次世代の「Rubin(ルービン)」については輸出規制を維持し、軍事転用のリスクを最小限に抑える。

 その一方で、準先端品であるH200を解禁することで、中国企業を再び米国エコシステム(経済圏)につなぎ止め、猛追する華為技術(ファーウェイ)など中国国産メーカーのシェア拡大を阻む。

 同時に、25%という高率の納付金を徴収し、米国内の産業振興や財源に充てるという実利も追求した。