米議会からの猛反発、「安保リスク」への懸念
しかし、この「実利優先」のアプローチは、米国内で激しい政治論争を巻き起こしている。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、エリザベス・ウォーレン上院議員などの民主党の有力議員グループは、この決定を「危険な賭け」だと厳しく批判した。
「H200が依然として極めて強力な計算能力を有しており、中国の軍事力強化に直結しかねない」というのがその理由だ。
「H200の解禁は、長年積み上げてきた対中輸出規制の努力を無にするものだ」とし、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)やハワード・ラトニック商務長官の議会証言を求めた。
トランプ政権側は「管理された輸出」であり、密輸によって所在不明になるよりも、正規ルートでエンドユーザーを把握する方が安全保障上も有利だと反論する。
しかし、米司法省がH200の密輸摘発を強化しているタイミングでの解禁だったこともあり、議会との溝は埋まっていない。
中国側のジレンマ、「抱き合わせ」購入案も浮上
受け入れる側の中国も複雑な反応を見せている。地場企業がH200を熱望する一方で、中国政府当局は慎重な姿勢を崩していない。
昨年末の段階で、中国当局がH200の輸入を無条件には認めない方向で検討していることが報じられた。
具体的には、H200を購入する企業に対し、一定比率で国産チップの購入も義務付ける「抱き合わせ(バンドリング)」案を検討している。
米国製チップの流入によって、ようやく育ち始めた国内AI半導体産業が再びシェアを奪われ、淘汰されかねないと警戒しているためだ。
中国政府にとって、AI半導体の自給体制構築は至上命題であり、米国への技術依存が再び強まることは安全保障上のリスクとなる。