社会保険料について記された日本維新の会のポスター(写真:共同通信社)
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
まだ遠い全容解明
日本維新の会の社会保険逃れ、国保逃れ問題が政治的注目を集めている。
この問題は、地方議員らが実態のない一般社団法人を介して社会保険に加入することで、本来負担すべき国民健康保険料と国民年金保険料を回避していたのではないかというものである。
当初は脱法的なグレーゾーンと見なされていた。だが、昨日(2026/01/07)の「中間報告」を経てもなお、組織的関与の疑いが完全払拭されないまま今日に至っている。
◎2026年1月7日(水) 藤田文武共同代表・中司宏幹事長 記者会見 @YouTubeより
国民健康保険は、個人事業主や地方議員などの自営業者が加入する公的医療保険制度であり、保険料は所得に応じて算定される。高所得者ほど負担が重くなる応能負担の原則が採用されている。
一方、社会保険(各健保組合や協会けんぽなど)は企業等の従業員向けの制度で、保険料は標準報酬月額に既定の料率(協会けんぽ東京支部の場合は介護保険料込で11.5%、なしで9.91%/厚生年金保険料率は18.3%)をかけた額を労使で折半する。
維新の「国保逃れ」疑惑は、地方議員らが実態のない一般社団法人に理事として名義上就任し、低額の報酬を設定することで社会保険に加入し、高額な国保料を回避していたというスキームだ。
厚労省によれば、令和4年の国保加入者は約2400万人で、一人当たりの平均保険料は約9万円である。
◎厚労省「各保険者の比較(令和4年度)」
しかし、議員のような高所得者の場合には、当然保険料負担が高額になるケースも珍しくない。対照的に、社会保険に低い標準報酬で加入すれば、保険料は年間数万円程度に抑えられる。この保険料負担の格差が、維新議員らの動機であったと推測される。
日本維新の会は2026年1月7日、所属議員803人(国会議員含む)を対象とした党内調査の中間報告を公表した。それによると、兵庫県議2人、神戸市議1人、尼崎市議1人の計4人が、国保逃れに関与していたとされる(前掲記者会見YouTube参照のこと)。
会見ではこの行為を「応能負担の趣旨を逸脱する脱法的行為」と認定し、処分を検討するとしている。
党の調査では、803人中364人が社会保険に加入していたが、そのうち4人が悪質と判断された。国会議員については関与が確認されなかったとされるが、すでに「自己申告ベースで不十分」との批判が上がっているように、この調査方法の迅速性と妥当性は問題の全容解明という観点から疑問が残る。