中道改革連合の執行役員会後に取材に応じる小川淳也代表=18日、国会(写真:共同通信社)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

改憲へ、2028年参院選が焦点に

 2026年2月、自由民主党が長きにわたり党是として掲げてきた憲法改正は、かつてないほどに現実味を帯びている。

 自民党が316議席を確保し、維新が36、与党で計352議席と歴史に残る議席を確保した。保守色の強い高市総理のもと、改憲への機運は政権発足当初から高まりを見せてきたが、その政治スケジュールと戦略を冷静に分析すれば、2028年に控える次期参院選までの期間に拙速な動きを見せることは考えにくい。

 高市政権にとって、両院それぞれでの三分の二が憲法改正発議に必要なため、参院選での勝利が、政権の長期化と安定化、ひいては悲願である憲法改正を実現するための「絶対条件」であるからだ。

 実務的な観点から見ても、参院選までの残り時間はあまりにも短い。

 憲法改正を実現するためには、衆参両院それぞれの憲法審査会での議論、条文の起草、各党間での調整、そして両院での三分の二以上の賛成による発議、さらにその後の国民投票という長いプロセスを経る必要がある。

 条文についてゼロから作るのか、過去の改憲草案を活用するのか、自民党内部ですら固まっていないのが現状だ。国民投票法では、発議から投票までに60日から180日の周知期間を設け、国民投票運動ができることが定められている。

 現在の政治日程を鑑みれば、28年の参院選前にこれらすべての過程を完了させることは物理的に困難だと思われる。

 強引に進めれば「議論不足」との批判を招き、選挙で手痛いしっぺ返しを食らうリスクがある。

 したがって、高市氏以下自民党執行部は、まずは参院選で勝利を収め、高市政権の長期政権化と同時に衆参両院における改憲勢力の議席を盤石なものとした上で、選挙後の政治的フリーハンドを得てから本格的な発議へと動く、というシナリオを描いているのではないか。

第2次内閣が発足し、記者会見する高市早苗首相=18日、首相官邸(写真:共同通信社)

 このように自民党側の打ち手がある程度推論できる状況で、問われるべきは対峙する野党の姿勢であろう。特に、野党第一党としての重責を担う「中道改革連合」が、この憲法問題に対してどのようなスタンスを取るのかは、日本の民主主義を左右するだけに重要な要素となるといえよう。

 しかし、現状を見る限り、中道改革連合の態度は曖昧模糊としており、有権者に対して明確な対立軸を提示できているとは言い難い。というのも、中道改革連合の公式の憲法に対する立場は不明確なままで、立憲民主党時代も「護憲」を掲げたわけではないからだ。

 このままでは、次期参院選において憲法改正が隠れた争点となるか、あるいは争点化されないまま選挙が終わり、その後に訪れる「改憲の季節」になし崩し的に突入してしまう危険性がある。これは、国家の最高法規のあり方を決めるプロセスとして、国民益に著しくそぐわない事態である。

 中道改革連合の新代表に就任した小川淳也氏の言動は、この懸念を一層深めるものであった。小川氏は就任直後から、憲法改正について前向きとも取れる発言を繰り返し、与党議員のみならず、多くの国民やメディアに驚きを与えた。

【速報】中道の小川淳也氏は記者団に憲法改正に関し「自衛隊の明記はあり得る」と述べた:時事ドットコム  

中道新代表に選出された小川淳也氏、憲法改正巡り「自衛隊明記の考え方が絶対ないとは思っていない」 : 読売新聞オンライン