街頭演説で支持を訴える国民民主党の玉木雄一郎代表=2日、東京・池袋(写真:共同通信社)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

「資産把握の壁」を迂回する戦略的な政策案

 日本の社会保障と税制において、長らく「理想的だが実現不可能」とされてきた政策課題がある。それが「給付付き税額控除」である。

 課税最低限以下の所得層に対し、税額控除で引ききれない分を現金の「給付」として支給する仕組みであり、所得再分配やシンプルな税制という観点で古くから多くの経済学者もその有効性を認めてきた。

 しかし、その導入には資産の正確な把握という高いハードルが存在する。厳密に行おうとするとコスト高になりすぎるし、ずさんになるなら富裕層に甘い不公平で不公正な制度になりかねない。

 結果として日本では給付付き税額控除以前に所得把握で議論が停滞し続けてきた経緯がある。マイナンバー制度の経緯と現状を想起すると、所得把握に対する抵抗感は相当根強いのが現実と言わざるをえないだろう。

 そうした閉塞状況に一石を投じる現実的かつユニークな提案が、国民民主党によってなされた。「社会保険料還付付き住民税控除」である。

 さしあたり、国民民主党・足立康史氏のnoteの説明がわかりやすいだろう。

国民民主党が提唱する「社会保険料還付付き住民税控除」 - もっと「手取りを増やす」ための現実的アプローチ -|足立康史 国民民主党 @adachiyasushi  

 この政策パッケージは、既存の行政インフラとデータを巧みに活用することで、長年の課題であった「資産把握の壁」を迂回し、相当程度実行の蓋然性が高い形へと昇華させた点において、精緻かつ戦略的な政策立案の産物であると評価できる。

 本稿では、この提案がなぜユニークで、従来の給付付き税額控除の議論をどう乗り越える可能性があるのか簡単な検討を加えてみたい。