自民党のユーチューブ公式チャンネルに投稿された広告動画。高市首相の登場で再生回数は1.6億回を突破した(写真:共同通信社)
(大井 赤亥:政治学者)
有権者の世代交代に適応した高市自民
第51回衆院選は、与野党ともにプラスとマイナスを抱えたままの壮大な社会実験となったが、果たして2月8日に投開票が行われ、その答えあわせが行われた。
結果は、自民党が衆院の3分の2を超える316議席を獲得して圧勝する反面、中道改革連合が167議席から49議席へと減らす大敗北となった。
今回の衆院選は、石丸旋風の生じた2024年都知事選から、国民民主や参政党の躍進した衆参の国政選挙を経た、この3年間の一連の政治変動の流れの上に位置づけられるべきものであろう。
いずれの大型選挙でも、組織型政党の裏をかく形でネット世論を席捲した政治家が民意を束ねてきた。2026年衆院選では、この間の石丸伸二氏や玉木雄一郎氏が占めたポジションに高市首相がはまったといえる。
このような変化を引き起こした最大の要因は、明らかに有権者の世代交代である。日本の人口構成には800万の塊で55年体制を支えた「団塊の世代(1947~49年生まれ)」と、その子どもを中心とする「現役世代(1971~1980年代半ば)」という二つの山があるが、この3年間は有権者のボリュームゾーンが前者から後者へと入れ替わる端境期にあたり、既成の政党政治の流動化が進んでいる。
私は昨年(2025年)9月のJBpressの記事にて、有権者の世代交代にともなう日本政治の流動化を強調したが、今回の衆院選でその進展が予想よりはるかに早いことを痛感させられた。
高市自民党の圧勝は有権者の世代交代に自民党が適応した結果であり、裏を返せば、中道改革連合をはじめリベラル派や左派がそのスピードにまったく追いついていけていないことの証左でもあったといえる。
今回の衆院選にあたって、私は中国ブロックの小選挙区で中道候補者のお手伝いをしながら、選挙を間近で「参与観察」し、市民社会の地殻変動を肌で感じることになった。
選挙とは、様々なチャンネルを駆使して候補者が有権者との接触を繰り返し、自らへの投票を呼びかける競い合いである。
今回の衆院選で痛感したのは、高齢世代と現役世代という二つの世代の分岐と、そのそれぞれにアクセスするためのメディア(媒体)の分岐である。すなわち、どの媒体を使うかによってどの層にアプローチできるかが明確に異なっており、それらの特性を把握してメディアを使うことが結果に大きな影響を与えるということである。

