Mildred RiosによるPixabayからの画像
先日、私のもとに届いた著作権許諾書には驚きました。
毎年このシーズンになると、私の書いてきた記事や書籍の一部が全国の大学だけでなく中学や高校も含めた入試用に使われて出題され、その許諾を求める封筒が来ていることは、このコラムでもお伝えしたことがあったと思います。
それが今回は、高校・大学の入試ではなく「2025年の国家公務員試験」にも使われたそうなのです。
本連載でもコンプライアンス、アカウンタビリティなど筋道を通す内容で一貫してきたつもりで、産・官・政・司法など各界に読者ないし元学生が広くいることは認識していますが、公務員試験に私の文章が問題として使われるとは・・・。
まあ、一般向けに記す私の文章は論理的な関係が明晰一意な文章の典型だと思いますので、「現代国語」の1番で出題されやすいという理由はあるのでしょう。
昨今のAI普及と並行して若者の作文能力が著しく落ちていることは間違いありません。そういう最近の若い人たちが読んでも正解が一意に定まるというのは、出題側が使いやすい理由だと思います。
さて、本題に入りますが、子供に十分な文章を書く能力が備わっていないと、必然的に深く読み込むことが難しくなります。読解力の低下は、作文力と強い相関関係があるからです。
そこで今回は、各種の生成AIを活用する東京大学「作文・言語」STREAMM教育の事例をご紹介してみましょう。
言語AIからイメージ、音声動画へ
本連載では1月に、テキストから静止画を生成する授業をご紹介しましたが、私は評論家ではなく、実際に教材や試験問題を作成する当事者側の人間ですので、まだまだ続きがあります。
モニター校での実際の教室では先のカリキュラムが進んでいます。その中から音声動画の出力と、それに伴う多言語教育のSTREAMMプログラムを今回は取り上げてみます。
ちなみにSTREAMMはドイツと日本の大学(主としてミュンヘン工科大学と東京大学)が提携して2015年から教材開発している科学(Science)技術(Technology)と省察(Reflection)、倫理(Ethics)、芸術(Arts)、数理(Mathematics)そして音楽調和(Music)を情報システムで架橋する教育カリキュラムです。AIがカバーできない人間ならではの「非認知能力」「社会的情動的能力」を伸ばします。
例えば、国語の授業で「俳句を作ってみよう」という創造的なカリキュラムが実施されることがあります。
大変結構なのですが、古典的な紙だけを使う授業だと、子供は「5-7-5」のマス目を埋めるのに精いっぱい。教程はそこでおしまいになります。
一方、AIアシスタントを活用することとして、プロンプトに「小学生レベルの、春と桜を読む俳句を出力してください」などと入力すると「作っておしまい」ではない教程が展開します。
例えば、AIアシスタントに助けてもらって、
「さくらさく ランドセルしょって せいくらべ」
という俳句を得たとしましょう。紙の国語ではここで終わりです。しかし教育用に安全性の高い生成AIを導入して
「さくらさく ランドセルしょって せいくらべ」で画像を出力して、とプロンプトにリクエストすれば、

こんな画像が出力されます。さらに「さくらさく ランドセルしょって せいくらべ」を英語、フランス語、中国語に訳してくださいなどとリクエストすれば、
英語:Cherry blossoms bloom, With a school bag on my back, Measuring my height.
フランス語:Les cerisiers fleurissent, Mon cartable sur le dos, Je mesure ma taille.
中国語:樱花盛开时,(Yīnghuā shèngkāi shí)
背着书包, (bēizhe shūbāo)
比比个头。 (bǐbi gètóu)
と出てきます。子供は必ずしも英語もフランス語も分かりません。
「そんなことをして意味があるのか?」というのは、文法とか「認知能力」に縛られた19世紀型の頭で考える疑問であることは、後ほど明示するようにします。
最後の中国語は、五言絶句にすると良さそうなので、「五言絶句に直して」とプロンプトに入力すれば、
桜 花 爛 漫 時 (おうか らんまんの とき) 桜の花が、いままさに咲き誇る時
背 負 小 学 包 (しょうがくの ほうを せおい) (ピカピカの)ランドセルを背中に背負って
自 覚 身 軀 長 (みずから さとる しんくの ちょうぜるを) 自分の背が伸びたことを、誇らしく感じる
相 凌 較 短 長 (あいしのぎて たんちょうを くらぶ)友達と背の高さを比べ合っている
こんな具合に出力されてきます。



