鳴り物入りで登場したアマゾン・フレッシュも閉鎖が決まった(写真は2021年3月4日、英国に開店したアマゾン・フレッシュ、写真:PA Images/アフロ)
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 米アマゾン・ドット・コムが食料品事業の抜本的な再編を発表してから、約1カ月が経過した。

 自社ブランドのコンビニエンスストア「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」と食品スーパー「Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)」を順次閉鎖し、傘下の高質食品スーパー「Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット:以下、ホールフーズ)」に集約する。

 この決断は、同社が10年以上にわたり続けてきた「自社ブランドによる実店舗小売りの実験」に一区切りを打ち、収益性と利便性を高次元で両立する新モデルへの移行を鮮明にしている。

「レジなし決済」実験の終了とB2Bへの転換

 アマゾンが1月末に発表した店舗閉鎖の背景には、大規模展開に見合う収益モデルの構築が困難だったという苦渋の判断がある。

 2018年に創業者ジェフ・ベゾス氏の肝煎りで誕生したアマゾン・ゴーは、カメラとセンサーを活用したレジなし決済技術「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」を世に知らしめたショーケース的な存在だった。

 しかし、この高度なシステムは導入・維持にかかるコスト負担が極めて大きく、実店舗チェーンとして多店舗展開するには経済的合理性が欠けていた。

 今後は、この決済技術を自社店舗の運営手段から、B2B(外販)ビジネスへと本格的にシフトさせる。

 既に5カ国360以上の外部施設で導入されており、病院の食堂やスポーツスタジアムでの顧客の待ち時間を大幅に短縮するなど、一定の成果を上げている。

 自社内においても、物流拠点(フルフィルメントセンター)の休憩室などへの導入を拡大し、従業員の利便性向上とオペレーションの効率化に活用する方針だ。