米アリゾナ州に建設中のTSMCの工場(2025年撮影、写真:Alamy/アフロ)
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 2026年1月中旬、米国と台湾が合意した包括的貿易協定は、世界の半導体供給網を根底から揺さぶる転換点となった。

 この合意に基づき、ファウンドリー(半導体受託製造)世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は米南西部アリゾナ州での事業を大幅に拡張し、最終的に計12拠点の工場(ファブ)を稼働させる計画だ。

 発表から約1カ月が経過した現在、この決定がもたらす地政学的な意味について、改めて市場の関心が高まっている。

2500億米ドルの投資と引き換えの「関税15%」

 今回の拡張計画は、トランプ米政権との間で交わされた大規模なディール(取引)の一環である。台湾側が2500億米ドル(約39兆円)の対米投資と、さらに2500億米ドルの信用保証を確約した。

 これに対し、米国は台湾製品への関税率を20%から15%へと引き下げる。この「15%」という数字は、以前から浮上していた関税引き下げ交渉の最終到達点といえる(米商務省の発表資料)。

 TSMCは既に、先端演算用のロジック半導体工場6拠点と、パッケージング工場2拠点に対して計1650億米ドル(約26兆円)の投資を表明していた。

 今回の合意により、アリゾナ拠点にはさらに複数のロジック・ファブが追加されることになる。同社の2026年の設備投資額は最大560億米ドル(約9兆円)に達する見込みで、製造能力の米国移転が加速する。