「Retail's Big Show」でスピーチするウォルマートのジョン・ファーナーCEO(左、2月1日就任)とアルファベットのサンダー・ピチャイCEO(1月11日撮影、写真:ロイター/アフロ)
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 2026年1月中旬に開催された米小売業協会(NRF)の見本市「Retail's Big Show(リテールズ・ビッグ・ショー)」から約3週間。

 米グーグルが打ち出した「ユニバーサル・コマース・プロトコル(UCP)」と、それに呼応する米ウォルマートなどの巨大小売り勢の動きは、単なる機能追加の枠を超え、デジタル商取引の「ルール」そのものを書き換えようとしている。

 AIが消費者の意図を汲み取り、商品の発見から決済、配送手配までを自律的にこなす「エージェント型コマース」。

 この新たな市場を巡り、①検索王者グーグル、②追撃する米オープンAI、そして③「顧客接点」の死守を狙う小売大手の、三つ巴の争いが鮮明になっている。

共通言語としての「UCP」とプラットフォームの思惑

 グーグルが発表したUCPとは、AIエージェントと小売業者のシステムが相互に通信するための「共通言語」である。

 その狙いは、断片化されている検索、在庫確認、決済、顧客サポートというプロセスを一つの標準規格で統合することにある。

 興味深いのは、同プロトコルがウォルマートや米ターゲット、カナダ・ショッピファイといった業界の主要プレーヤーと共同開発された点だ。

 これまで各社が個別に構築してきたAIツールをUCPという「土台」に載せることで、消費者はグーグルの会話型検索「AIモード」やAIアプリ「Gemini(ジェミニ)」から離れることなく、複数の小売業者の商品を横断的に、かつスムーズに購入できるようになる。

 背景には、先行するオープンAIへの対抗意識がある。

 オープンAIは2025年秋、米決済基盤大手ストライプと組んで「Agentic Commerce Protocol」を公開し、「Chat(チャット)GPT」内での直接購買を可能にする「Instant Checkout(インスタント・チェックアウト)」を導入した。

 グーグルは自社の圧倒的な検索シェアを武器に、より広範な小売りエコシステムを味方につけることで、AI時代の購買の「玄関口」を奪還しようとしている。