米沢城趾 上杉謙信公之像(写真:w.mart1964/イメージマート)
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、豊臣秀吉の弟・秀長がいかに天下人の兄・秀吉を支えたかにクローズアップして好評を博している。戦国大名たちがどんなキャラクターで描かれるのかも見どころの一つ。松下洸平が演じる徳川家康はすでに登場し、武田信玄は未登場ながらも、髙嶋政伸が演じることが発表されている。そうなるとやはり、信玄のライバル・上杉謙信は誰が演じ、いかにして登場するかが気になるところ。その戦の強さから「戦国武将最強」と評される謙信だが、愛読書は意外なもので、そこにも謙信の強さの秘密があった──。
(*)本稿は、『本を読む人だけが、“自分の壁”を突破できる』(真山知幸著/青春出版社)の一部を抜粋・再編集したものです。
『平家物語』に涙を流した上杉謙信の思い
「日本維新の会」や「れいわ新選組」など、歴史にまつわるワードが政党名に使われることがある。大改革を成し遂げた若き幕末の志士や、滅びゆく幕府を守ろうと集った新選組の面々は、それぞれ立場は違えど「この日本を何とかしなければ」と立ち上がった点では同じだ。
そして今の日本社会もまた幕末期と同様に混迷に陥っている。政治家を志す者が彼らのようであるべし、と意気込んでその名にあやかりたいというのは、実が伴っているかどうかはともかく、理解はできる。
戦国時代に戦の強さから「越後の龍」「軍神」と呼ばれた越後の上杉謙信もまた、先人の奮闘ぶりに心を揺さぶられたようだ。涙さえ流しながら、こう嘆いたという。
「我が国、日本の武徳はすっかり衰えたように思われる」
謙信がそんなふうにがっかりしたのは、石坂検校に語らせた『平家物語』に登場した武士のありようが、あまりに素晴らしかったからである。
平安末期における平家と源氏の騒乱を描いた軍記物語『平家物語』は、鎌倉時代に成立したとされている。作者不詳で琵琶法師たちの口承によって、時代を超えて語り継がれてきた。
物語には数多くのバージョンがあり、琵琶法師が語ったものを書写した「語り本系」と、それに加筆して読み物とした「読み本系」の二系統に分かれている。
一般に流布したのは語り本系となる。謙信がそのストーリーを聞くや否や涙を流し、家臣たちを驚かせたのは、平家物語の「鵺(ぬえ)の段」(巻四「鵺」)という話だ。それは次のような逸話である。
