柴田神社(福井市)の柴田勝家像
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 2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長にスポットライトが当てられ、そのユニークな視点で話題を呼んでいる。天下人となる秀吉(演:池松壮亮)を、秀長(演:仲野太賀)は右腕としていかに支えたのだろうか。第6話「兄弟の絆」では、鵜沼城主・大沢次郎左衛門に信長暗殺の疑いがかけられたことで、城に残った秀吉の命が危機に瀕することに。翌日までに、信長に無実を証明しなければならなくなった秀長。信長の妹・市の助言を受けながら、兄のために奔走するが……。今回放送の見どころについて、『戦国最高のNo.2 豊臣秀長の人生と絆』の著者・真山知幸氏が解説する。(JBpress編集部)

『走れメロス』を彷彿とさせる、秀吉の命を懸けたタイムリミット

 兄の秀吉が処刑される前に戻ってみせる――。そんなストーリー展開に、太宰治の『走れメロス』をイメージした視聴者が多かったようだ。

 状況を整理すると、信長としては美濃に侵攻するため、尾張国と美濃国の境にある犬山城を落としたかった。そこで犬山城を孤立させるため、敵国である美濃側へと乗り込んでいき、鵜沼城を押さえてしまう。そして、犬山城が斎藤家の諸城と連携できないようにしてから攻め込めば、城は落ちるはずだと考えた。

 つまり、犬山城攻略の下地を整えるべく、鵜沼城に目をつけたのである。信長は鵜沼城主の大沢次郎左衛門を寝返らせようと、秀吉と弟の秀長を派遣。すると、2人は信長の期待に応えて調略に成功し、次郎左衛門を信長のいる清洲へと連れていくことになった。

 その際に、秀吉が人質として鵜沼城に残り、秀長が次郎左衛門とともに清洲へ。手を組む手はずが整えば、次郎左衛門を鵜沼城に帰還させて、鵜沼城で待つ秀吉が解放されるという流れになっていた。

 ところが、次郎左衛門の荷物から毒を塗った「苦無(くない:忍者が用いる忍具の一種)」が発見されたことで、状況は一変。信長に味方するふりをして、その命を狙っているのではないかと、次郎左衛門が疑われてしまう。

 今回の放送では、秀長が次郎左衛門の疑いを晴らさなければ、次郎左衛門は討たれてしまい、その結果、鵜沼城で待つ兄の秀吉も命が危うい……という状況の中、秀長が奔走することとなった。

 だが、この逸話のベースになっている小瀬甫庵の『太閤記』では、かなり異なる物語が展開されている。また視聴者の多くが連想した『走れメロス』にいたっては、原作の太宰治がやらかした友人へのひどい仕打ちがベースになっている。