実店舗の役割変化と「超高速配送」への再挑戦
物理的な店舗網の整理が進む一方で、アマゾンは「即時性」の最大化に向けた新機軸も打ち出している。
かつてのコンビニ機能を代替するのは、シアトルなどで試験運用中の30分配送サービス「Amazon Now(アマゾン・ナウ)」だ。
これは、顧客の居住地近くに配置された「マイクロフルフィルメント・センター」を活用したクイックコマース戦略である。
店舗というショールームを維持するコストを排し、配送効率に特化した拠点から直接届けることで、収益性と速度の両立を狙う。
また、好調なホールフーズにおいては、都市部向けの小規模フォーマット「デイリーショップ」を拡充し、仕事帰りの「ついで買い」需要を捉える構えだ。
今後の展望と「第2幕」への課題
アマゾンの次なる焦点は、ホールフーズ以外の顧客層を取り込む「スーパーセンター」型の新店舗構想である。
中西部イリノイ州シカゴ近郊などで開発が進むこの新フォーマットは、生鮮品から日用品までを低価格で提供する大規模店舗型を目指している。
単なる技術の誇示ではなく、真に持続可能な収益性と広範な支持を両立できるかが、今後の成否を分けるだろう。
また、配送エリアの急拡大に伴う「品質管理」の維持も、ブランドの信頼を左右する大きな課題だ。
ホールフーズCEO(最高経営責任者)兼アマゾン食料品事業トップのジェイソン・ビューチェル氏が従業員に送った社内メモによれば、同社は新たに「食料品品質」を担当する専任リーダーを任命し、配送の末端まで鮮度を保証する体制を強化している(米CNBCの記事)。
巨大な顧客基盤、AI技術、および統合された物流インフラ。
これらを有機的に結合させ、日常の食という最も身近な接点を完全に掌握できるのか。実店舗の整理という「守り」の決断を、次なる成長への「攻め」の基盤に変えられるか。
アマゾンの食料品戦略「第2幕」に注目が集まっている。
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