子供たちが大喜びする、あえて時代考証を間違えた算数教材:ピザパイを食べる古代エジプト人たち、著者が出力。手が3本ある人がいたり、バグだらけだったりしますが、それも面白い。以下も同じ。
先の総選挙のように、SNSやAIが暴走して民主主義の根幹が揺るがされつつある現在、明日を担う子供たちに、どのような教育を施せばよいのでしょうか?
今回は、ドイツ連邦共和国・ミュンヘン工科大学と日本の東京大学が世界に先立って推進するSTREAMM教育教材のなかでもユニークな「割り算から教える小学算数」をご紹介しましょう。
なお、STREAMMとは、Science Technology Reflection Ethics Arts Mathematics and Music(科学・技術・熟慮・倫理・芸術・数学と音楽)の7科目を総称する私たちが進めている教育の基礎コンセプトです。
登場するのはピラミッドやスフィンクス、ツタンカーメンなど古代エジプトのキャラクターたちです。それには理由があって、ここで扱う数理は「リンド・パピルス」にある算術を基礎にカリキュラムが構成されているからです。
リンド・パピルスに学ぶ計算と民主主義
リンド・パピルスとは前16世紀(おおむね前1550年頃)、エジプト王に仕えた書記官「アーメス(アメフス、とも)」によって書写された文書で、もともとはもっと古い、古代エジプト第12王朝第6代ファラオ、アメンエムハトⅢ世(前19世紀、1840年代〜1790年代頃)時代の古文書を書写したものです。
その内容をここで細かく紹介はしませんが、労働者に対する報酬を現物支給するための食糧の配分や、土地の配分などに関連して「平等な分割」を実現する「単位分数」を用いた計算法など、多数の例題と解答が記されています。
ここで「単位分数」というのは分子が1の分数、例えば「1/2」「1/3」「1/5」といった分数を指します。
このようにコマ切れにしたうえで、それを等しい数だけ分配すれば、平等な分配が実現できる。古代エジプトの数学には、実用性とともに、「平等」の概念が色濃く反映されていることに注意しておきます。
2026年、日本の子供たちへの授業ではこれを「ケーキをこんなふうに2つに分けるのでいい?」という問いの形で投げかけます。

不平等な形で、ケーキを分ける可能性を例を示すと、小学1年での実施でも、ほぼすべての子供が「やだー」と答えます。
そこで、AIを使うといってもこれは教材づくりの工夫程度ですが、「そうだよね。古代エジプト人たちも、こういう分け方はイヤだったみたいだよ」と言いつつこんなページ

を見せると、子供たちは大いに喜びます。さらにひどいケーキの分割法を提示して

エジプト人たちの対立をAIで生成した絵で示すと、

子供たちは大騒ぎして反応します。私の小中学校での算数の授業が黄色い歓声だらけというのは、現実にはこんなことなのですが、最終的に「平等」な分割を見せると、子供たちも納得しますし、エジプト人たちにも和平が訪れます。
私たちのモニター校、菅生学園初等学校(東京都あきる野市)では今年度、小学1年から6年まで、全学年の子供に私自身が授業して、この種の教材を用いましたが、基本的な内容の達成度は99%以上、教材としての妥当性を確認することができました。



