2月12日、2026年3月期の業績見通しを発表するエスピノーサ社長(写真:共同通信社)
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(井上 久男:ジャーナリスト)

 日産自動車が2月12日に発表した2026年3月期決算での通期業績見通しは、最終損益が6500億円の赤字となる。日産はこれまで、リストラの詳細が決まっていないことなどを理由に通期での最終損益予想を開示していなかったが、今回初めて開示。同社としては過去4番目に大きな赤字額となる。25年3月期決算でも6709億円と過去3番目に大きな赤字を計上しており、2年連続で巨額赤字となる。

 日産のイヴァン・エスピノーサ社長は記者会見など公式の場で、25、26年度は経営再建計画「Re:Nissan」の着実な実行に集中する考えを示しており、この巨額赤字は市場もある程度は織り込み済みだ。

「Re:Nissan」では、①コスト構造改革、②市場戦略と商品戦略の再定義、③パートナーシップの活用といった3つに重点を置く。こうした戦略を展開することで、26年度までに自動車事業の営業損益とフリーキャッシュフローで黒字化を目指す。

 同時に開示した通期での営業損益は、昨年11月時点での見通しから2150億円上方修正して600億円の赤字。赤字額が小さくなった。これは、コスト改善努力がある程度奏功しているからで、25年9~12月期の3カ月だけで見ると、175億円の営業黒字を確保し、トランプ関税の影響を吸収することができた。ただ、25年4〜12月期のフリーキャッシュフローはマイナス6914億円で、厳しい状況が続いている。

 財務実績的には一部改善が見られるものの、今回の決算発表では日産が抱える「別の課題」も見えてきた。それは、工場閉鎖や人員削減が続き、市場や世間から失いつつある信頼をどう回復させるのか、という点だ。