組織としての「不誠実さ」、現場のモラル低下も
こうした販売不振の理由についてエスピノーサ氏は「否定的な報道が影響して集客力が落ちた」などと語った。確かに、日産に対する報道は、人員削減などのリストラや業績は悪いのに高額報酬を得る役員、経営トップの意思決定の遅さなどネガティブな報道がこれまで多かった。しかし、それはファクトだから記事にされても仕方ない。
敢えて言うが、日産の組織としての「不誠実さ」が顧客にも伝わり、見捨てられているのではないか。
こんなこともあったそうだ。筆者の知人の日産の元ベテラン営業マンで多くの表彰を受けてきたある人物はいま、損害保険の営業に携わっている。古巣への愛情から新車販売でお客を紹介しても、お礼の一言すらないばかりか、その元ベテラン営業マンの保険の顧客を奪うことがあるという。おそらく現場のモラルが落ちているのだろう。
こうしたネガティブな部分を、25年4月に社長に就いたエスピノーサ氏が改革し、意思決定を早め、日産を早期に再建させる努力をしていることは認める。エスピノーサ氏に何度かインタビューして考えを聞いたが、納得できる点も多い。エスピノーサ氏自身はとても誠実で前向きな経営者のように感じる。
しかし、不誠実と見られても仕方ない、あるいは自社に都合のいいことだけを開示する記者会見や情報開示をしていると、日産は本当に世間から見捨てられてしまうのではないか。