日産横浜グローバル本社ギャラリーに展示された日産新型「リーフ」(写真:筆者撮影)
トランプ大統領は2月12日、自動車の温室効果ガス排出規制を撤廃した。オバマ政権から米国が強化してきたEV(電気自動車)普及政策に大きな影響を与えることは確実だ。2020年代半ばになってから、グローバル市場で「EVは本格的な普及に向けた踊り場」だと言われている。トランプ大統領の今回の判断は、こうしたEV市場の動向に追い打ちをかける可能性もある。一体、EVはいつになったら普及するのか。直近のメーカー各社の動きを振り返りながら、EVの未来を考えた。
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
EV戦略を見直すと宣言したホンダ
直近、EV事業計画の抜本的な見直しを明らかにしたのがホンダだ。
2月10日に行った2026年3月期・第3四半期決算発表の場で、貝原典也副社長はホンダの主力市場である米国で「今後のEV戦略を見直す」と言った。
この発言は、2月12日のトランプ政権の発表の前のことだが、米国連邦および州政府はすでに環境政策の転換を明らかにしていた。
ユーザーや販売店にとっては、インフレ抑制法(IRA)が撤回され、EV購入者に向けた最大7500ドルの税額控除が撤回された影響が大きい。
ホンダの次世代EV「0(ゼロ)シリーズ」の開発車両。栃木県内のホンダ関連施設にて(写真:筆者撮影)
また自動車メーカーにとっては、カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッションビークル)法の方針転換が影響した。ZEV法を制定したカリフォルニア州は長きにわたり、アメリカのみならず、グローバル市場において、EV関連の政策のリーダー的な存在だった。
しかし、同州政府は、EV販売義務化に関するZEVクレジットの見直しに加えて、2035年までに、新車の100%、つまりすべての新車をZEV(ゼロエミッションビークル)にするとしたACCⅡ(アドバンスト・クリーン・カーズ・ツー)についても見直すことを明らかにした。
こうした中、ホンダはアメリカでのEV市場は伸び悩むとして、米ゼネラル・モーターズ(GM)と協業するとしてきたEV戦略について大幅に修正する。
契約不履行に伴うGMへの補償金が発生するが、ホンダによれば、これまでにGMから補償金額の提示はなく、今後のために補償の準備として200億円を確保している状況だ。