静岡県内でBYDのプラグインハイブリッド車「シーライオン6」に試乗した(写真:筆者撮影)
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BYDオートジャパンは12月1日、スーパーハイブリッドの「SEALION 6(シーライオンシックス)」の日本国内での販売を開始した。スーパーハイブリッドは同社の商品名で、技術的にはプラグインハイブリッド車に属する。日本で中国メーカー製のプラグインハイブリッド車が発売されるのは今回が初めて。12月1日に都内で開催された発表会及び技術説明会、静岡県御殿場市での公道試乗での感想を踏まえて、プラグインハイブリッド車市場の今後を考えてみたい。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 まず、プラグインハイブリッド車とは何か?

「プラグイン」とは、充電機器をクルマに接続して充電したり、外部に給電したりする行為を指す。充電・給電の原理は基本的にEV(電気自動車)と同じだ。

 またバッテリーの残量が減るとエンジンを作動させ、走行中にバッテリーを充電したり、エンジンの動力で駆動したりすることができるため、EVのような電欠の心配がない。

 技術的にプラグインハイブリッド車は、EVとハイブリッド車の“いいとこ取り”をしているというわけだ。

 ただし、ハイブリッド車に比べると搭載する電池容量が大きく、動力系のシステム構成が複雑になることからコストが上がり、ハイブリッド車に比べて割高だ。

 例えば、トヨタの「RAV4」の場合、エントリーモデルの「X」(ハイブリッド車・四輪駆動)が385万9900円、ハイグレードの「G」で433万2000円であるのに対して、プラグインハイブリッド車の「Z」(四輪駆動)は566万1000円で、ハイブリッド車とは100万円以上の価格差がある。

 同じプラグインハイブリッドだと、四輪駆動の三菱「アウトランダーPHEV」は529万4300円、マツダ「MX-30 ロータリーEV」は四輪駆動のほかに前輪駆動があり、エントリーモデルで435万6000円。

 こうした中、BYDのプラグインハイブリッド「シーライオン6」は前輪駆動車で398万2000円、四輪駆動車が448万8000円という日系各モデルを意識した戦略的な価格設定とした。

BYDオートジャパンによる記者会見で、シーライオン6の前輪駆動車は400万円を切る戦略的な価格設定を発表(写真:筆者撮影)

 BYDはなぜ、そんな強気の価格設定が可能なのか。