韓国ヒョンデのモビリティロボットプラットフォーム「MobED」。約200mmの段差を上手に通過する様子(写真:筆者撮影)
「クルマ×ロボット」と聞いて、どんなイメージを持つだろうか。例えば映画「トランスフォーマー」のように、クルマがロボットに変身するといったSFの世界のイメージ。もしくはホンダが以前に開発していた二足歩行ロボット「ASIMO」もある。拡大解釈をすれば、「空飛ぶクルマ」もクルマのような使い勝手を追求した変形ロボットになるかもしれない。そうした中、韓国のヒョンデが量産型モビリティロボットプラットフォームの「MobED」を12月3日に東京都内で世界初公開した。ヒョンデとロボットの意外な接点を含めて「クルマ×ロボット」の未来を考えてみたい。
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
2年に一度開催される世界最大級のロボット関連イベント「2025国際ロボット展(iREX2025)が12月3日〜6日に東京ビッグサイトで開催され、過去最多となる国内から673の企業と団体が出展した。主催者の発表では、来場者数は15万6110人に上ったそうだ。
同会場の西ホール4のヒョンデブースに登場したのが、量産型モビリティロボットプラットフォーム「MobED」だ。
モビリティロボットプラットフォーム「MobED」とは何か。
そもそも「モビリティロボットプラットフォーム」という言葉はヒョンデの造語であり、大まかに言えば、ロボットのように動くハードウェアがあり、それをベースに様々な用途に適合できるシステムを指す。
具体的には4輪の電動台車だ。
種類はラジコンのように遠隔操作する「ベーシック」と、上級モデルの「プロ」の2つ。
プロでは、カメラやレーザーによって周囲の状況を可視化するLiDAR(ライダー)をセンサーとして車体に搭載し、ヒョンデ独自のAI(人工知能)技術により自律走行(自動運転)ができる。
人が乗ったMobEDを、撮影用の自動運転MobEDが追従する様子(写真:筆者撮影)
ボディサイズは、ベーシックが全長1150mm×全幅750mm×全高430mm。プロではアンテナを装着するため全高650mmとなる。
重量と最大積載量は、ベーシックが重量78kg・最大積載量57kg、プロが重量88kg・最大積載量47kg。
最大登坂角度は10度で、最大200mmの段差を乗り越えられる。プロの最大速度は時速2.8km。バッテリー容量は1.47kWhで、満充電すると4時間程度の走行が可能だ。
開発者によれば、1輪あたり3個のモーターを備えており、それぞれが前進・後退、上下、左右の動きを制御する。つまり、合計12個のモーターを使うことで多様な走行を実現した。
ヒョンデモーターグループ・ロボティクスラボの開発者ら(写真:筆者撮影)