交通取り締まり不正について、記者会見で謝罪する神奈川県警の今村剛本部長(写真:共同通信社)
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 神奈川県警第2交通機動隊が反則切符にウソの記載をし、違法な交通取り締まりを繰り返していた問題が明るみに出てから1週間、ついに警察庁長官が会見で本件について言及した。県警はすでに約2700件の不正を認めて違反を取り消し、少なくとも納付済みの反則金3500万円を返還する予定だというが、いったい現場では何が起こっていたのか……。
 昨年1月、神奈川県の小田原厚木道路で、第2交通機動隊による違法取り締まりを受け、本件が発覚する1年前に告発と是正要求を行っていたという「道路交通評論漫画家」の芳井かずみ氏に、ノンフィクション作家の柳原三佳が話を聞いた。

「やっていることは投資詐欺と同レベル」

――2月19日午前、警察庁の楠芳伸長官が定例記者会見で今回発覚した神奈川県警の大不祥事に触れ、「取り締まりに対する国民の信頼を損ないかねない重大な事案だ」と述べ、全国の警察に指導する考えを示したそうです。

2月19日、記者会見で交通取り締まりついて全国の警察に指導を行う考えを示した警察庁の楠芳伸長官(写真:共同通信社)

(参考)警察庁長官「国民の信頼を損ないかねない」 神奈川県警の不正な交通取り締まり問題で(ANNnewsCH)

 この会見をご覧になって、『切らせない! 交通違反キップ』(ぶんか社)などの著書もある芳井さんとしては、専門家として、そして当事者としてどう思われましたか?

芳井かずみ氏(以下、芳井) 「信頼を損ないかねない」って? いやもう完全に損なわれています! どうやって信頼回復するかでしょう。今回の問題はプルデンシャル生命で露見した投資詐欺と同レベル。はっきり言って、数字を作って(反則)金を“盗ってる”わけですから『詐欺』、犯罪です。

――報道によれば、今回発表された不適正な処理は2022年3月~2024年9月の期間に絞って調査されたもので、このうち数件分については「虚偽有印公文書作成・同行使」の容疑で書類送検するとのこと。組織的に不正を繰り返していたことを認めている第2交通機動隊第2中隊の第4小隊は、主に「小田原厚木道路」という自動車専用道路で取り締まりを担当していたそうですが、なんと芳井さんはまさにこの道路で速度違反の切符を切られたのですね。

芳井 そうなんです。2025年1月20日、都内の自宅から熱海まで知人に会いに行くため車で下り車線を走っていたのですが、午後12時43分頃、覆面パトカーの追尾を受け、70キロ制限の道路を93キロで走っていたとして取り締まりを受けました。

――ということは23キロオーバーですね。

芳井 小田原東ICのETCゲートを徐行速度で通過した直後ですからそんなに出てるワケはないと思い、取り締まった覆面パトの乗務員Y巡査とU巡査部長に説明を求めました。

芳井さんが神奈川県警の取り締まりを受けた小田原東インターチェンジ付近

 彼らは小田原東ICで一般道から本線に合流する地点で本線を走行する私の車を発見。その後の取り締まりに入ったパトカーの動きをシミュレーションすれば、加速車線時速40キロ〜そこから本線合流後、追いつくために時速100キロ以上に加速〜時速93キロの等間隔等速度での100m追尾計測~計測完了。本線合流地点から計測完了地点まで、およそ450m足らずですから、もう“無理くり”ですね。