5万ドルが下値目途か(写真:©Aloisio Mauricio/Fotoarena via ZUMA Press/共同通信イメージズ)
2026年に入り、金融市場では対照的な光景が広がっている。米国株式市場や金価格が史上最高値を付けるシーンがあった一方で、ビットコインは年初から軟調な推移が続き、昨年10月に記録した高値から50%超の下落をうかがう場面も見られた。かつては「リスク資産の代表」あるいは「デジタルゴールド」と称されたビットコインに、いったい何が起きているのか。本稿では、足元の下落をもたらしている市場構造と投資家心理の変化を整理し、今後の見通しを考察する。
(松嶋 真倫:マネックス証券 暗号資産アナリスト)
「貴金属ショック」が波及
まず金融市場全体の下落を引き起こしたのが、2026年1月末から2月初めにかけて発生したいわゆる「貴金属ショック」である。トランプ大統領がタカ派寄りとされるケビン・ウォーシュ氏を次期FRB議長に指名したことで金融引き締め観測が急速に広がり、それまで強い上昇トレンドにあった金・銀価格が大きく下落した。
貴金属市場の急変は単なるコモディティ価格の調整にとどまらず、広範なリスク資産へ波及した。
金・銀価格の急落はインフレヘッジ目的のポジション調整を誘発し、その影響は株式市場のボラティリティ上昇としても顕在化した。近年の金融市場では資産クラス間の相関が不安定化しやすいが、この局面でも典型的な連鎖的リスクオフが観測されたのである。
ビットコインも例外ではなかった。株式や金とは異なる値動きを示すとの見方とは裏腹に、実際には流動性環境やポジション解消の影響を強く受け、特に短期筋やレバレッジ主体の投資家にとってリスクウェイトの大きい資産として売り圧力にさらされた。
