ドイツのメルツ首相(写真:marco iacobucci/IPA via ZUMA Press/共同通信イメージズ)
[ロンドン発]第2次トランプ米政権が北大西洋条約機構(NATO)の事実上、骨抜き化を進める中、第2次大戦後、自国の核兵器保有を封印してきたドイツが米国に依存しない欧州独自の核抑止力について真剣に議論を始めた。
「時代は変わった」
ドイツでは、トランプ復活の可能性が出てきた2023年、緑の党の重鎮で元副首相兼外相ヨシュカ・フィッシャー氏が「世界は変わった。ウラジーミル・プーチン露大統領は核による威嚇を行っており、トランプ氏は米国の核の傘を不確かなものにしている」と指摘。
「欧州は自らの核抑止力を持つべきか? その通りだ。時代は変わった。欧州は独自の抑止力を持たなければならない。ドイツ自身が核保有国になるべきだと言っているのではない。英仏の既存の核能力を基盤として欧州全体をカバーする核の傘を構築しなければならない」
緑の党は1980年代、NATOの核ミサイル配備に反対する平和運動から誕生しただけに、フィッシャー発言を「裏切り」と感じる人も少なくなかった。フィッシャー氏は99年のコソボ紛争時「アウシュヴィッツを繰り返さないため」とNATOの軍事介入を支持した現実主義者だ。