「事態が深刻になった時、最後に頼れるのは自分一人だけ」

 フィッシャー氏の核論議はその延長線上にある「自由を守るための究極のリアリズム」に基づく。ドイツ単独の核保有は法的にも国民感情的にもハードルが高く、フランスの核をドイツがお金を出して「共同管理・共同利用」する形での「欧州核」を現実解として提示している。

 フィッシャー氏は「われわれの隣人(ロシア)が核兵器で武装した帝国主義者である以上、われわれは自らの安全を祈りだけで守ることはできない」とも語っている。今年2月、ドイツの歴史家ハラルド・ビアマン氏もこう語っている。

「自国あるいは欧州の核兵器によってドイツを保護することについて緊急に議論しなければならない。(核抑止力なしでは)ドイツはロシアによる核の威嚇に対して無防備なままさらされることになる。それはわれわれの自由と民主主義を他者の慈悲に委ねることを意味する」

 フランク・ピーパー陸軍准将は今年1月「ドイツは独自の戦術核兵器を必要としている」「ベッドから起き上がって仕事に取り掛かる時だ。結局のところ常に真実であったことが今も当てはまる。事態が深刻になった時、最後に頼れるのは自分一人だけなのだ」と踏み込んだ。