9月16日、ロンドンのウエストミンスター大聖堂で行われたケント公爵夫人キャサリン妃の葬儀に参列した際に兄・チャールズ国王と話すアンドルー王子(写真:ロイター/アフロ)

『アンドルー王子―その特権と没落』で暴かれた腐敗

目次

[ロンドン発]英歴史家兼作家アンドルー・ロウニー氏が新著『アンドルー王子―その特権と没落(筆者仮訳、原題:Entitled: The Rise and Fall of the House of York)』の出版に合わせ9月24日、ロンドンの外国特派員協会(FPA)で質疑に応じた。

FPAで質疑に応じたアンドルー・ロウニー氏(筆者撮影)

 ロウニー氏は、少女買春で起訴され自殺した米富豪ジェフリー・エプスタインとの親密な関係と未成年者性交疑惑で公務を解かれたアンドルー王子(65)=英王位継承順位8位=と元妻セーラ・ファーガソン氏(65)を軸に、王室の制度的腐敗や沈黙と隠蔽の文化を告発している。

 4年にわたり3000人に取材を敢行、うち10分の1の幼馴染、仕事仲間、学友、秘密保持契約を結んでいた元スタッフ、外交官、慈善活動・ビジネス関係者、調査したものの結果の公表を阻まれたジャーナリスト、友人から回答を得た。

 フォークランド紛争に従軍した若き英雄、エリザベス女王に溺愛された次男で「イケメン王子」と呼ばれたアンドルー王子がいかにしてエプスタイン・スキャンダルの泥沼にはまり込み「恥辱の公爵」に転落したのか。その背後に王室に絡みつく制度的な腐敗がある。