共同演習や戦略的な意思決定プロセスへの参画での協力を模索
エマニュエル・マクロン仏大統領は「欧州は地政学的な強国になることを学ぶ必要がある。国防と安全保障を包括的に捉え、核抑止力をその中に明確に位置づけるためメルツ氏や欧州の指導者と対話している。仏独間で戦略的アプローチや戦略文化を収束させるための道だ」という。
フランスのマクロン大統領とドイツのメルツ首相(写真:Wiktor Dabkowski/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)
メルツ氏が求めた「共同運用」や「資金拠出」について、マクロン氏は核兵器そのものの配備よりも、共同演習や戦略的な意思決定プロセスへの参画という形での協力を模索する姿勢を見せる。スターマー英政権も英国の核戦力を「欧州全体の安全保障の要」として提示する。
『壁を越えて:東ドイツ 1949~1990』(筆者仮訳)の著者でドイツ系英国人の歴史家・ジャーナリスト、カーチャ・ホイヤー氏は米ブルームバーグへの寄稿(2月18日付)で「今のところ、ドイツが核爆弾を保有することは現実的ではない」と指摘する。
「ドイツにできることは規模に見合った通常軍事力で貢献し、英仏の核開発計画との協力形態を模索し、経済的自立を向上させることだ。ドイツが核爆弾への懸念を捨て去ったのであれば、原子力エネルギーも再び愛することができるかもしれない」と原発再稼働を示唆している。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。