AIバブル崩壊は近い?(写真:ロイター/アフロ)
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
人工知能(AI)ブームに牽引されて好調だった米株式市場に異変が生じている。
ブルームバーグは2月16日「AI業界が引き起こした株式市場の混乱は、投資家の相反する2つの懸念を映し出している」と報じた。
相反する2つの懸念
1つ目の懸念は、AIが経済のあらゆる分野を劇的に破壊するというものだ。AIに取って代わられるリスクがわずかでもあれば、その企業の株式が売られる状況だ。
投資家はここ数週間、不動産サービスや資産運用、保険ブローカー、物流など幅広い業界で、多数の企業に厳しい売りを浴びせてきた。
「AIに駆逐される」とみなされた業界のデフォルト(債務不履行)リスクも高まっている。ブルームバーグ・インテリジェンスは5日「ソフトウエア業界の融資債権のうち177億ドル分がデフォルトの懸念が高いとされるディストレスト水準に低下した」との分析結果を示した。
2つ目の懸念は、アマゾン・ドット・コムやメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アルファベットなどの巨大テクノロジー企業(ビッグテック)が毎年AI分野に投じている数千億ドルもの資金が、近い将来、本当に成果を生むのかというものだ。
日本経済新聞社の集計によれば、ビッグテック主要4社の今年の設備投資額は合計で100兆円規模に達する見通しだ。
投資競争が過熱しているとの指摘が出ており、巨額の資金がそれに見合った大幅な収入増につながっていないことに、投資家が苛立ちを募らせているのが現状だ。
ただ、AIに関する投資家の2つの懸念は矛盾している。2つの懸念がともに正しいということはありえないからだ。1つ目の懸念が正しければAIを手中に収めるビッグテックに富は集中することになり、2つ目の懸念は成り立たないことになる。