トランプ米大統領の政策が金融市場の大きなリスクに(写真:AP/アフロ)
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
米国では今年に入っても人工知能(AI)ブームが続いている。
AIは企業投資の原動力となり、産業全体の設備投資計画を変えるまでに至っている。
一方、全米で広がるデータセンター建設の波は地域社会を混乱に陥れている。
数年前まで、データセンターの建設はショッピングモールを建てるのと同じぐらい波風の立たない事業だったが、状況は一変した。地元住民らはデータセンターが電気料金を押し上げ、水資源を大量に浪費するのではないかと危機感を強めており、テック大手が住民の懐柔に躍起になっているのが現状だ。
電気と水、米経済のリスクに
住民たちの危惧は既に現実になりつつある。
米国の物価上昇が落ち着きを取り戻しつつあるが、電力価格の上昇だけは著しい。昨年12月の消費者物価指数(CPI)における電力価格は前年比6.7%も上昇した。
急増する電力需要を受けて、米国では1960年代に建設された石油火力発電所が再稼働する事例も出ているほどだ。
事態の悪化を恐れる米国政府は対策に乗り出している。
ブルームバーグは1月17日「トランプ政権と米13州は住宅向け電気料金の上昇を抑えるため、新たな発電所建設の資金をテック大手に事実上、負担させる構想を推進している」と報じた。
データセンターのサーバーの冷却に必要な水の大量消費も深刻だ。
米国のデータセンターの年間の水使用量は660億リットルと日本の50万人分の生活水に相当するとの試算がある。
電力や水の問題に加え、増え続ける資金需要に金融市場が応え続けられるのかとの難問も浮上している。
現在のAIブームを主導してきたオープンAI社が、資金不足に陥るのではないかとの憶測が流れているのが典型例だ。