「今年はリスクが積み上がる年」
このような状況を踏まえ、米投資企業ダブルライン・キャピタルは27日「割高の評価を受けた企業がAI分野への投資や買収資金を確保するため、過去最高規模の借り入れに動き始めており、今年はリスクが積み上がる年になる」と警告を発した。
投資ブームにとっての最大の敵は金利の上昇だが、その兆しが頭をもたげている。
ロイターは6日「膨大なAI関連投資が急激なインフレを引き起こす可能性があるが、市場はこのリスクを見逃している」と報じた。
AIバブルの背景に過剰流動性が金融市場全体の資産価格を押し上げている点があることも見逃せない。過剰流動性は一時的な現象であり、永遠に続くことはありえない。
筆者が注目したのは、著名な投資家であるレイ・ダリオ氏が1月下旬の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の場で行った発言だ。
ダリオ氏は運用資産900億ドル(約14兆円)を誇る世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者だ。そのダリオ氏が「貿易赤字や貿易戦争の裏側には資本戦争がある。トランプ大統領の攻撃的な(貿易)政策が世界の金融紛争の引き金となる可能性がある」と危機感を露わにしたから驚きだ。
ダリオ氏の指摘を理解するためには、国際収支についての若干の知識が必要だ。
私たちにとって最もなじみが深いのは貿易収支だ。貿易収支にサービス収支や所得収支を加えたものが経常収支である。経常収支の赤字はその国が生産以上の消費をしており、海外から資金を借りてこなければならない状態のことを指す。
つまり、経常収支が赤字の国の資本収支は黒字になるのだが、その国の経常収支と資本収支は外貨準備の増減を除けば理論上一致する。
経常収支の赤字を続けることは通常の国では不可能だが、基軸通貨ドルを擁する米国は別だ。毎年、多額の経常収支の赤字を埋める大量の資金が米国に流入し、金融市場の潤沢な流動性が維持されてきた。
だが、その構図が大きく変わりつつある。