衆院解散を決断した高市早苗首相は「責任ある積極財政」を掲げる(写真:共同通信社)
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衆院が解散となり、2月8日の投開票に向けた選挙戦が始まる。昨年10月に発足したばかりの高市政権に国民はどのような審判を下すのか。高市首相が経済政策として掲げるのは「責任ある積極財政」だ。物価高が進行する中、日本銀行は1月23日の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決めた。「責任ある積極財政」を推進すると日本経済はどのような姿になるのか。元日銀の神津多可思・日本証券アナリスト協会専務理事が解説する。(JBpress編集部)

(神津 多可思:日本証券アナリスト協会専務理事)

消費税減税にも現実味、経済活動にさらなる刺激が

 エコノミストが使うマクロ経済モデルは、「連立方程式」の体系である。その連立方程式を解くことで、実質経済成長率、物価変動率、金利、為替といったマクロ経済にとって重要な複数の経済変数が、互いに影響を与え合いながら、最後は同時に値が決まる。

 連立方程式を解くのだから、個々の変数が単独で動くわけではない。注目する経済変数はセットで「解」となり、マクロ経済としての均衡が実現されると考えるのである。

 このマクロ経済学の基本に立つと、高市政権が目指す日本経済の姿はどう描けるだろうか。

 にわかに衆議院解散となり、何らかの消費税減税も現実味を帯びてきた。「責任ある積極財政」によって、より強い日本経済を作るというこれまでの方針の上に消費税減税が乗れば、国内の経済活動は、家計の消費、企業の投資、そして財政支出ともに、これまで以上に刺激されることになる。

 ここで問題になるのは、それらが相俟って、最終的に日本経済はどんなバランスに落ち着くかということだ。連立方程式のマクロ経済モデルの考え方に立てば、「できるだけ金利を上げない」「行き過ぎた円安を避ける」といった一部分だけを取り出した議論では不十分ということになる。

 どれか1つの経済変数が動けば、他の経済変数も必ず動く。日本経済の重要な経済変数は、そのように相互に影響を与え合いつつ、最終的に何らかの整合的な組み合わせに落ち着くはずである。それはどのようなものだろうか。

 今日、見逃すことのできない重要な経済変数を挙げるとすれば、「実質経済成長率」「インフレ率」「金利」「為替レート」は外せないだろう。

 変数が4つだと、4つの独立した方程式が必要になる。変数の数を増やせば、方程式の数も増え、そのため解を得るのも難しくなる。もちろん他にも重要な変数はあるが、ここではこの4つに絞って考えることにしよう。