日本維新の会の吉村洋文氏、藤田文武氏と街頭演説に立つ高市首相(写真:アフロ)
目次

(山本一郎:財団法人情報法制研究所 上席研究員・事務局次長)

 衆院選の告示当日、1月27日の午前2時30分に原稿を書いています。正直なところ、いきなり降って湧いた解散総選挙で、雪深い冬の短期決戦に向けて各種の調整が膨大に押し寄せ、また出そろっていない調査結果から何とか有権者の皆さんがお感じになっている争点を掴もうと悪戦苦闘しているところです。

 そもそもなんで解散したんですかねえ……。まあ、そうなってしまったからには対応をするんですけれども。

 選挙に関し、有権者の皆さまのお考えを何とか知りたいと思っておるところですが、今回特に頭を抱えているのは、各マスコミが解散総選挙の争点をざっくりと「物価高」にしてしまったことです。あのさあ。

 いや、物価高って何なんですか。これは雇用や賃上げの問題なのか、年金の支給額が不足して暮らせないという話なのか、円安で海外からの輸入品が円ベースで値上がりして困っているということなのか。

 大きく言えば「経済政策」なんでしょうが、むしろ社会保障と日本経済叩き売りの円安とが切り分けられず、いま生活が苦しい人がたかだか年間2%程度のインフレで苦しんでいるという話に過ぎません。

 いろんな論点がごっちゃになっていて、何を街頭演説で政治家が有権者の皆さまにお訴えしたらよいのか、さっぱり分かりません。報道被害だと思うぐらい、意味のないテーマ設定です。

 そもそも「物価高」を争点にするならば、高市早苗さんが解散表明の際に述べた「行き過ぎた緊縮志向の流れを終わらせる」という発言こそが、まさに物価高を加速させかねない政策スタンスだったと批判されてしまいます。

 案の定、この発言に市場が反応して長期金利が急騰し、米国のベッセント財務長官から「市場が下落しているのは、日本の国債市場がこの2日間で異例の動きを記録したためだ」と名指しで批判される始末となりました。

 もちろん、高市さんが総理になられたからには、お考えの経済政策も含めて理想を実現するんだという意欲を示すのは当然ですし、やるべきことだとは思います。なので、責任ある積極財政を掲げるのは結構なことです。

 ただ、マーケットの受け止めを考えると、その結果として金利が上がり、さらにやや円安に転じ、住宅ローンを抱える現役世代や国債を大量に保有する金融機関に影響が及ぶことまで考えたうえで有権者の皆さまに訴えかける必要がございます。

 また、今回「食料品等に限り」「2年間限定で」「景気が戻るようなら」という消費税減税を打ち出して大変な不評を頂戴しました。