高い内閣支持率に惑わされた「リセマラ解散」の結末
さらに「連立与党」の日本維新の会さんも、「大阪」と「大阪以外」での得票傾向のコントラストが凄まじいことになっています。昨年7月が7.5パーセントで、連立政権に入った11月に9.6パーセントまで増やしたものの、今回は自民党や中道などへの流出が響き、7.0パーセントに減りました。
無党派からは投票先の受け皿として認知されている維新さんは、ブロック比例で議席を大阪以外でも拾えるかもというのは大きいんですが、今回の選挙では与党として存在感を示しているのに微減で着地しそうというのは残念なところです。
全体で見るとまあまあ維新さんに対する期待感もあるものの、不動の集票基盤がある大阪の堅調ぶりと、大阪以外では小選挙区ほぼ全滅という状況が予想されています。武田良太さんは大喜びかもしれません。維新さんが伸び悩めば、自民党としては連立のパートナーとしての価値を見直すことになるでしょうから。
さて、この記事を書いている告示当日の見込みとしては当然、本来なら自民党と維新で安定多数の243議席を確実なものにしたいところです。しかし、中道改革連合の立憲・公明支持層への浸透が急ピッチで進んでおり、予断を許しません。
すべての帰趨は、中道改革連合がどこまで接戦区で小選挙区を取りにこられるか、逆に言えば自民党が公明党さんからのご支援なしにどこまで粘れるかで決まるのではないかと思っています。
菅原さんが指摘されているように、並立制は世論に素直に反映する制度ではありません。政党の支持率や得票率と選挙結果、議席数が綺麗に反映されず、特に小選挙区での政党の戦略の巧拙や立場によって結果が大きく左右されます。
2024年の衆院選では、得票を大きく増やさなかった立憲民主党が獲得議席数を大きく伸ばしました。これは国民民主党支持者からも共産党支持者からも票を得られる同党の野党内での位置の良さによるものでした。今回、中道改革連合がその地位を引き継げるかどうか。
冬の短期決戦、雪深い地域では投票率が伸び悩むでしょう。これは組織票を持つ政党に有利に働くはずですが、その組織票の要だった公明党・創価学会の支援を失った自民党にとって、それがプラスに働くかどうかは分かりません。
高い内閣支持率という幻覚に惑わされた「リセマラ解散」の結末は、2月8日の投開票日に明らかになります。
山本 一郎(やまもと・いちろう)
個人投資家、作家
1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し、『ネットビジネスの終わり(Voice select)』『情報革命バブルの崩壊 (文春新書)』『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』など著書多数。
Twitter:@Ichiro_leadoff
『ネットビジネスの終わり』(Voice select)
『情報革命バブルの崩壊』 (文春新書)
『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』(文藝春秋)