減税競争で割を食うのは現役世代
脊髄反射的に減税イコールうれしいと反応するのはネットのSNS民だけで、実際には将来の年金・社会保障財源も含めて「いまの制度は持続的なのか」を説明しなければなりません。何より高市さんが主張した台湾問題やサイバーセキュリティなどを実現していくためには防衛費増額の恒久財源問題が立ちはだかります。
そうした経済政策の是非を有権者に丁寧に説明する時間もなく、各党は「消費税減税」という分かりやすい飴玉を競って差し出す展開になってしまいました。自民党も維新も国民民主党も、そして中道改革連合も、こぞって減税を訴えています。
インフレ下で減税競争をやれば、日銀は利上げをせざるを得なくなり、その影響を最も受けるのは住宅ローンや事業資金の借り入れを抱える現役世代です。結局、若い世代を潰す話にしかなりません。
そんな複雑な因果関係を短い選挙期間中に説明できるよう手配しておかないと、有権者の皆さんのご納得はなかなか得られないのかもしれません。今後の街頭演説では、高市さん自ら「消費税減税は言わない」方針になってしまうのではないでしょうか。
うっかり高市政権が消費税減税で野党の主張を争点ごと潰そうとした結果、自民党の信頼の根源である責任政党としての有権者さんからの評価が行き詰まってしまう恐れもあります。
結果として、高市政権の支持率が下落傾向に転じて下げ幅がちょっと拡大してしまいました。この下げた属性を見ると、「都市部」「50代、60代」「中所得者層以上」で大きくなっています。困ったな。
さて、肝心の選挙情勢に目を向けてみましょう。現実はつらいですね。先にも書きました通り、高市内閣の支持率は発足当初の高水準から低下傾向にあります。毎日新聞の直近調査では10ポイント下落したと伝えられました。
もっとも、政治学者の菅原琢さんが指摘されているように、内閣発足直後の高支持率とはそもそも「不支持留保」の層が含まれた水膨れした数字であり、時間が経てば必ず下落するものです。高支持率を見て「人気だ」「ブームだ」と騒ぐのは、世論調査の数字を「温度」のように誤解している典型的な報道の悪弊だと言えます。
興味深いのは、内閣支持率は高いのに自民党支持率自体はあまり伸びていないという乖離です。