記者会見で、23日召集の通常国会冒頭に衆院を解散すると表明した高市首相=19日、首相官邸(写真:共同通信社)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

衆院解散、そのきっかけは「政治とカネ」問題だった

 衆議院が今日、国会召集日冒頭で解散される予定だ。過去に4回行われており、通常国会が1月召集になった1992年以降では初のことだという。

「冒頭解散」は過去4回、3回は自民が単独過半数 1月の通常国会は初 - 日本経済新聞  

 そもそも現在の政局と混乱した政治状況は、自民党に端を発する令和版政治とカネの問題であることが早くも忘れられかけている。

 ある意味、令和版政治とカネ問題は、規模こそ昭和や平成の時代と比べて相当小さくなった。だが、矮小化してさっさとなかったことにしようとする、あるいはいくつかの選挙を経てなお、学習することなく軽視する姿勢は当時以上かもしれない。

 特に興味深いのは、ネット上でも「自民党で問題となったのは裏金ではなく他党と同じく不記載(なので、大した問題ではない)」「不記載問題は政界で頻発(なので、大した問題ではない)」「自民党の不記載問題を問題視するなら、他の政党も問題視するべき」といった言説が再び跋扈しつつある。

 否、自民党の要職を務める当事者すら、恥ずかし気もなくそれらを口にしている。

 以下、少し長いが、幹事長代行記者会見(2025年12月1日)のやり取りを引用しておこう(下線、強調は引用者)。
 
――朝日新聞です。高市政権の政治とカネの問題への向き合い方についてお伺いします。内閣支持率が高い水準で推移している一方で、朝日新聞の直近の世論調査では、自民党の政治とカネの問題に対する取り組みについては7割が「評価しない」と回答しました。萩生田代行は、いわゆる裏金問題、安倍派の当事者のおひとりでもありますが、この世論調査についてどうお考えかお聞きします。

幹事長代行:裏金ではなく、不記載をしたということで、当然、今までも説明責任を果たしてきたつもりでいますし、これからも必要があれば機会があるごとにお話をしていきたいと思います。個々に対応が若干違うので一概には言えないのですけれども、既に収支報告書を全て修正して、あるいは必要な金額を党に戻したりする中で会計処理が終わっている人と、そうじゃない人がいるので、まだ未解決じゃないかという印象を持たれている部分もあると思うのですけれども、この件についてはそれぞれアプローチも違いますので、一人ひとりの議員が誠実に自分自身の取り組みを国民の皆さんにきちんと説明をして理解を高めていく以外に方法はないのではないかと思います。私自身もその努力を続けていきたいと思っております。
 
――朝日新聞です。この問題については、まだ真相究明がされていないという声が党内外にありますけれども、どのように解明していくか、今後の説明責任についてお伺いします。
 
幹事長代行:何をもって真相究明なのか、私にもわかりませんので、個々に対応が違うと思いますから。関係した一人ひとりが、きちんと自分の対応を説明していくことに尽きると思います。

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自民党の新年仕事始めの会合に臨む萩生田光一幹事長代行=6日、東京・永田町(写真:共同通信社)

 ネットやSNSの罪深いところは、荒唐無稽な話題だと鼻で笑って無視していると、偽誤情報を大量流通させることにつながり、「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」「どっちもどっち」論がまかり通りかねないところである。

 おかしな言説には、何度でも誤りを指摘していく必要がある。