使い道もわからない、課税もされない
どうだろうか。報道は「ニュース」、すなわち新しい情報に関心が向くから、こうした「新しくない情報」は今ではすっかり忘れられている。
ここまで読んでなお「自民党で問題となったのは裏金ではなく他党と同じく不記載(なので、大した問題ではない)」「不記載問題は政界で頻発(なので、大した問題ではない)」「自民党の不記載問題を問題視するなら、他の政党も問題視するべき」といえるだろうか。
2024年に行われた二度にわたる政治資金規正法の改正についても検討が必要である。
6月に成立した改正法では、パーティー券購入者の公開基準が「20万円超」から「5万円超」に引き下げられた。また政治家本人に「確認書」の作成を義務付けられることになった。しかし、この時点では「政策活動費」について領収書の公開が10年後という極めて長い猶予が設けられたままであり、第三者機関の設置も検討事項に留まっていた。
同年10月の衆議院選挙では、裏金問題が最大の争点となり、自民党は公示前の256議席から191議席へと大幅に議席を減らし、2009年以来15年ぶりに単独過半数を割り込んだ。自公合わせても215議席にとどまり、過半数の233議席に届かなかった。
裏金関係候補46人のうち当選したのは18人で、下村博文氏や丸川珠代氏らが落選した。有権者の厳しい審判が下されたといえる。
この結果を受けて、同年12月の臨時国会では政治改革関連3法が成立した。最大の成果は、使途公開義務のなかった政策活動費が例外なく廃止されたことである。また、国会に「政治資金監視委員会」を設置し、収支報告書に虚偽の記載や記載漏れの訂正を求める権限を与えることも決まった。収支報告書のデータベース化やオンラインでの閲覧・検索機能の整備も明記された。
もっとも、これらの改正をもってしても、構造的問題が解決されたとは言い難い。
というのも、企業・団体献金の禁止は見送られたままだ(賛成していたはずの維新が態度を保留していることも大きく影響している)。対案として存在していた政治資金の受け入れ先の限定すら政局の中で見送られている。
政治資金監視委員会の具体的な体制や権限の詳細、運用や委員はこれから決められるが、もともと26年の通常国会で法案成立が見込まれていた。これが政局のなかで曖昧になってしまい、27年1月1日に間に合わせられるのか危ぶまれるところである。
政治家はしばしば「裏金ではなく不記載だ」というレトリックではぐらかそうとする。しかし、領収書が存在せず、収支報告書にも記載されない金が手元にあるということは、その使途が一切外部からチェックできないことを意味する。それが選挙買収に使われたのか、あるいは私的な遊興費に消えたのか、誰も検証できないのである。課税もされていない。そんなことがまかり通るだろうか。