自民党を圧勝に導いた高市早苗首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
2月8日に投開票された衆院選は自民党の圧勝で決着し、政治日程の次の焦点は「首相指名選挙」に移りました。首相指名選挙は首相を選ぶ国会での手続き。今回は高市早苗氏が指名を受け、次の首相を担うことが確実です。では、この選挙は実際にはどのようなプロセスで行われるのでしょうか。過去に起きた“ドラマ”も含め、「首相指名選挙」をやさしく解説します。
2月18日、特別国会召集・首相指名選挙に
日本は、行政のトップを国民の投票で直接選ぶ「大統領制」ではなく、国会議員の中から選ぶ「議院内閣制」を採用しています。そのため、衆院選(総選挙)によって衆院議員の新しい顔ぶれが決まると、国会は新たな内閣総理大臣(首相)をただちに選出しなければなりません。これが「首相指名選挙」(首班指名選挙)と呼ばれるもので、手続きは日本国憲法で定められています。順を追って見ていきましょう。
国会には3つの類型があります。
1つは「通常国会」です。国会法上の呼び方は「常会」。年1回開かれる定例会で、毎年1月に始まり、期間(会期)は150日と定められています。次年度予算案や各種の法案を審議します。もう1つは「臨時国会」(臨時会)。これは内閣が必要と認めたときに召集できる国会で、多くは秋に開会します。その年度の補正予算案や緊急の法案などが審議対象で、会期はその都度決定します。
残る1つが「特別国会」(特別会)です。衆院選後に初めて開かれる国会のことで、国会法上の呼び方は「特別会」。憲法第54条の規定で、衆院選から30日以内に開かなければなりません。
【第五十四条】衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
次に、憲法第70条の規定により、特別国会では内閣がいったん総辞職します。今回の特別国会は2月18日召集です。総選挙で自民党は圧勝しましたが、特別国会の冒頭で高市早苗首相やその他の閣僚は辞職します。
【第七十条】内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
内閣が総辞職すると、国会ではただちに次の内閣総理大臣を選ぶ首相指名選挙が行われます。憲法第67条にその規定が書かれています。
【第六十七条】内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
首相指名選挙は衆議院と参議院の両院で行われます。仮に、それぞれ違う人が指名された場合には、両議院の協議会を開いて意見の統一を図りますが、意見が一致しない時には衆院の判断が優越し、衆院で指名された者が内閣総理大臣となります。
首相指名選挙における投票はすべて「記名式」で、誰が誰に投票したかは公のものとなります。国民が投票する通常の選挙と違い、誰がどんな投票をしたかの秘密が守られる「秘密投票」ではありません。
内閣総理大臣の指名を受けた者はただちに首相官邸に入り、国務大臣の選考を行います。いわゆる「組閣」です。なお、憲法には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」(第66条2項)という規定があり、現職の自衛官は大臣になることができません。
