OTC類似薬の患者負担が引き上げられる(写真:Zoey/イメージマート)
2027年3月以降に医療機関を受診すると、「薬代が高くなったな」と感じるかもしれません。医師が処方する「OTC類似薬」と呼ばれる薬の患者負担が引き上げられることになったからです。自民党と日本維新の会の政策合意によって決まりました。では、何がどう変わるのでしょうか。そもそも「OTC類似薬」とは? やさしく解説します。
「OTC類似薬」とは
昨年12月12日のこと。「日本維新の会」政調会長の斎藤アレックス衆院議員らは木原稔・官房長官を訪ね、「令和8年度診療報酬改定等にあたっての申し入れ」と題する文書を手渡しました。そこに、次のような文章が出てきます。
〈軽微な体調不良の際、平日の診療時間中に長い待ち時間を経て受診することが難しい現役世代は、市販薬を全額自己負担で購入せざるを得ない。一方、高齢者をはじめ時間に余裕のある層は、同じ症状でも受診し、保険給付を受けながら、より安価で「OTC類似薬」を入手できる。その結果生じた医療費増大のツケは、保険料として現役世代に跳ね返る。こうした「受診機会の格差」と「保険料負担」が重なる現役世代の二重の不利益は看過できない〉
日本維新の会が高市早苗政権の与党(閣外協力)となって、およそ50日。OTC類似薬に関する項目は、自民と維新の政策合意書にも登場します。社会保障費を引き下げるために、患者の自己負担を増やしていくという内容です。
ここで登場するOTC類似薬とは、どんな薬なのでしょうか。
一般的に薬は、提供方法によって2つに分類することができます。1つは、薬局やドラッグストアなどの店頭で医師の処方箋なしに購入できる市販の医薬品(市販薬)。これが「OTC薬」です。OTCは「Over The Counter」の略で、店頭のカウンター越しに対面で物品を販売してもらうことを指します。OTC薬の購入には公的医療保険が適用されないため、患者は原則、全額を負担することになります。
そして、もう1つが医師の処方箋に基づく「医療用医薬品」(処方薬)です。公的医療保険が適用されるため、薬代の自己負担は1〜3割で済みます。しかし、処方薬の中にはOTC薬と効能・成分がほとんど変わらないものも少なくありません。これを「OTC類似薬」と呼びます。
例えば、鎮痛剤として知られる「ロキソニン」を例にしましょう。この薬は製薬会社の第一三共が開発したもので、速効性と高い鎮痛・解熱・消炎作用を持つ非ステロイド性抗炎症薬です。同社は1986年に医療用医薬品として「ロキソニン錠」の販売を始め、2011年にはOTC薬(市販薬)の「ロキソニンS」シリーズを発売します。双方とも、解熱鎮痛成分「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を含んでおり、効能・成分に大きな差はありません。