米海軍の沿海戦闘艦「サンタモニカ」から飛び立った自爆型低コスト無人機「LUCAS」(2025年12月16日アラビア海で、米海軍のサイトより)
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 本稿は、1月21日にJBpress掲載した「トランプのイラン攻撃『作戦時計』は動き出した」稿の続編である。

イラン攻撃シナリオの再浮上

 米トランプ政権の中東政策は、「最大限の圧力」と「ディール」という2つの軸で動いてきた。核開発、地域覇権、革命防衛隊の活動が重なり、イラン情勢は再び緊張の度を増している。

 2月6日、米国とイラン高官協議が中東のオマーンで再開された。

 しかし、イラン側は議題を「核問題に限定」し、弾道ミサイルや代理勢力(親イラン武装勢力)への支援停止といった米側の要求は「交渉の対象外」と明確に拒否した。

 この「核限定協議」に最も強い危機感を示したのがイスラエルである。

 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は訪米日程を前倒しし、2月11日にドナルド・トランプ米大統領と会談。ミサイル開発の制限や地域武装勢力への支援停止を議題に含めるよう強く求めたとみられる。

 本稿は、こうした最新動向を踏まえ、交渉の行方、トランプ氏の思考軸、米軍の軍事配置、イスラエルの後詰、北朝鮮モデルとの比較を通じて、イラン攻撃シナリオの現実性を読み解く。

交渉の現状:アラグチ外相の限定交渉

 2月6日にオマーンで再開された米・イラン高官協議は、オマーン外相が仲介する「間接協議」として行われた。双方が対話継続に合意したものの、交渉の枠組みは当初から厳しく制限されていた。

 イランのアッバース・アラグチ外相は、協議の議題をあくまで「核問題に限定する」と明言し、米国やイスラエルが強く求める弾道ミサイル開発の制限や、ハマスなど親イラン武装勢力への支援停止については「交渉の対象ではない」と明確に拒否した。

 一方、米側が最重要視するウラン濃縮活動の停止については、イランが濃縮を含む核活動のどこまでを譲歩対象とするかは依然不透明だ。

 アラグチ外相は協議継続そのものには前向きな姿勢を示す一方で、譲歩の範囲は濃縮度の引き下げといった「技術的調整」に限られるとみられ、戦略的領域には踏み込ませたくないようだ。

 これに対し、トランプ政権は「3つの断念」(ウラン濃縮・弾道ミサイル開発・武装勢力支援)を不可欠とする立場を崩しておらず、両者の溝は埋まる気配がない。

 こうした構造的対立の結果、協議は継続されているものの、扱える議題が核問題に限定されているため進展には限界があり、根本的な対立は残ったままである。