高校野球は「7イニング」になるのだろうか(写真:共同通信社)
高校野球を7イニングに──。日本高等学校野球連盟(以下、高野連)は2025年12月に「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」の最終報告書を発表した。同報告書には「2028年開催予定の春のセンバツ大会を目処として、同大会以降、全ての公式戦に(7イニング制が)採用されることが望ましい」と記載されている。これについて現場はどのように考えているのか。斎藤佑樹氏、清宮幸太郎氏など数々の甲子園のスターを指導してきた早稲田実業学校高等部・硬式野球部監督の和泉実氏に聞いた。
(湯浅大輝:フリージャーナリスト)
7イニング制で大きく変わる野球
──2028年のセンバツを目処として、地方選を含む全ての公式戦で「7イニング制」を採用する案が持ち上がっています。名門・早稲田実業の監督として、和泉さんは7イニング制について、どうお考えですか。
和泉実氏(以下、敬称略):私としては、現場の選手たちを預かる監督の立場なので、うかつに賛成・反対と言うことなどできません。決まったルールの中で生徒たちにより良い環境で試合をさせるのが私の仕事です。
ただ、近年は高校野球における新たなルールが決まっていくスピードがとても速いなと思います。例えば、タイブレーク制や1週間の投球数上限(500球)…。
早実が2006年夏の甲子園で優勝したとき、斎藤佑樹は現行ルールだと、準決勝の途中から交代しなければなりませんでした。もしかしたら、早実の選手権初優勝はなかったかもしれませんね。高校野球の形が急激に変化していることは事実でしょう。
和泉 実(いずみ みのる) 1961年9月10日生まれ。東京都出身。早稲田実業の捕手として、78年に春と夏の甲子園に出場。早稲田大でも野球部。84年から山口県立南陽工野球部監督。92年から早実硬式野球部監督。斎藤佑樹(元日本ハム)を擁した2006年の夏の甲子園で初優勝。(写真:共同通信社)
それに、7イニング制になると作戦面でも変化が予想されます。イニングが短くなることから、複数のエース級の投手を擁しているチームは次々と調子のよい投手を投入してくるでしょう。
145kmを超える投手を一回りでとらえることは大変難しく、いくら打線に自信がある高校でも簡単に点を取れなくなると思います。ロースコアのゲームが増えノーヒットの試合も増えるでしょうね。
──最終報告書においては、「部員の健康対策」を今の高校野球の課題のひとつに挙げています。試合時間が約2時間から約1時間30分に短縮されることで、投球数も約130球から約100球に減少することが予測され(過去の全国大会のデータから)、2025年に7イニング制で実施された国体でも、ほぼこの予測が実現されたとのことです。
