東京海上ホールディングス 専務執行役員 グループCDOの生田目雅史氏(撮影:榊水麗)
東京海上ホールディングス(HD)が、「保険会社の再定義」に取り組んでいる。「Beyond Insurance(保険のその先へ)」をコンセプトに、事故や災害への事後対応にとどまらず、未然防止や被害軽減まで含めた価値提供を目指す。同社はその実現に向けて、デジタルを起点に事業の在り方そのものを見直してきた。旗振り役を務めるグループCDO(最高デジタル責任者)の生田目雅史氏に、変革のこれまでと現在地について話を聞いた。
「Nice to have」から「Must」へ──定まったトップの覚悟
──東京海上HDでは「Beyond Insurance」の方針を掲げ、「ソリューション創造企業」へと大きくかじを切っています。こうした経営方針の転換について、社内ではいつごろから議論していたのですか。
生田目雅史氏(以下、敬称略) 「保険以外の領域で新しい価値を提供すべきではないか」という議論自体は、もう十数年も前から始まっていました。
このまま、従来の保険ビジネスだけに安住していてよいのか。かつて銀行が「預金・融資」だけでなく多様な金融サービスへと業務範囲を広げたように、保険会社も、もっとお客さまの役に立てる領域があるのではないか。そうした危機感と成長への意欲は、社内で長く共有されていたものです。
「保険以外の領域で何かをやりたい」という議論は、何度も持ち上がってきました。ただ、その多くは長らく「Nice to have(できればいいよね)」のレベルにとどまっていたのが実情です。それがここ数年で、「絶対にやるんだ」「これをやらなければ会社の未来はない」という経営の命題(Must)へと明確に進化しましたね。
何か特別なきっかけがあったわけではありません。長年積み上げてきた議論が熟成し、最終的に経営トップが覚悟を決めた形です。






