怪我予防には「投球数制限」だけでは不十分
和泉:今は高校生でも、本当に球速が上がりました。私が現役だった70年代後半は140km投げるピッチャーが珍しかったのに、今では150kmを投げる投手が続出しています。
人体を支える筋肉は増やすことはできても、投球動作を支える肩・肘の腱を鍛えることはできません。投手の出力が上がっているということは、それだけ肩・肘の腱にかかる負担も増えているということ。投手の球速が向上していることも、怪我のリスクを押し上げている見逃せない要因なのだと思います。
もちろん、投球数を一定程度限定することは重要です。ただ、それと同時に身体のケアもより大切になってきたのではないでしょうか。例えば、準備運動や投球動作の恒常的なチェック、インナーマッスルを鍛えることなどが挙げられます。
投球数を減らしている投手でも、準備とケアを怠っていればいきなり腱が切れてしまうこともあります。昭和の大投手は今と比較できないくらい投げ込みをしていて「正しいフォームで投げればケガはしない」と主張する人も珍しくありませんでした。
この意見は単なる暴論ではなく、今から思えば現代スポーツ科学の観点から見ても身体に負担がかかりにくいフォームで投げていたことが証明されつつあります。無茶なフォームが身についていれば、どれだけ投球数を減らしたとしても怪我をしやすくなるでしょう。アメリカでは予防検知から早い時期にトミージョン手術を行う選手もいると聞きます。いろいろな考え方があり、統一することは難しいと思います。
また、短いイニングだと後先考えずに全力投球することで、
『スピードのある投手=よい投手』
投手の怪我予防と技術向上は、複合的な視点で考えなければいけません。投球数という目に見えるデータだけに頼ってはいけないということです。
──同報告書ではまた、熱中症リスクも課題のひとつだ、としています。