韓国の李在明大統領(写真:共同通信社)
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 米韓間の通商摩擦が再燃したことで、韓国では安保危機へと飛び火する可能性に対する懸念が提起されている。

 トランプ米大統領は、李在明(イ・ジェミョン)大統領との間で昨年合意された「共同ファクトシート(共同説明資料)」について、その履行のための特別法(対米投資特別法など)を韓国国会がいまだ通過させていないことなどを理由に、「韓国からの全輸入品に対する関税を15%から再び25%に引き上げる」と先月26日に宣言した。

 トランプ大統領による対韓関税の再引き上げ圧力は、表面上は経済問題のように見えるが、経済と安保がセットで動く米韓関係の構造上、「安保協力の亀裂」に繋がりかねない関係にある。

 特に李在明政権が推進している「戦時作戦統制権(戦作権)」の早期移管、駐韓米軍の運用問題、そして原子力潜水艦の導入構想は、通商摩擦の影響を直接受ける、極めてセンシティブな問題である。

「関税引き上げ通告」にあれこれ手を尽くすも…

 トランプ政権による関税25%再引き上げ宣言を受け、韓国政府は金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官に続き、趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官まで急遽訪米させたが、2026年2月12日現在、いまだ進展がない状況だ。

 韓国政府は「3月初めまでに国会での立法を完了させる」と説得しているが、米国側は強硬な立場を崩していないと伝えられている。

 ルビオ米国務長官は趙顕韓国外交部長官に対し、「韓国が通商公約を履行しておらず、内部の雰囲気が良くない」と警告に近い発言をしたとされる。韓国政府は、関税引き上げの公式手続きである米国の官報掲載を阻止することを最優先目標としつつ、賦課時期を遅らせる「プランB」も検討していると報じられるほど、状況は芳しくない。

 これに関連し魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は、「(通商摩擦が)安保分野の後続協議にも影響を及ぼしかねない」と語った。

国家安保室長の魏聖洛氏(写真:共同通信社)

 魏安保室長は2月5日付の『京郷新聞』とのインタビューで、「米国との関税交渉が難航している余波が、原子力潜水艦、ウラン濃縮、使用済み核燃料の再処理など安保分野の後続議論にも影響を与えている」とし、「(米国の安保交渉チームが)今頃韓国に来て協議していなければならない時期なのだが、遅延している」とし、「これは非常に大きな問題だ」と懸念を表明した。