「原潜導入」はリップサービス?

 原子力潜水艦の導入は、昨年10月に慶州(キョンジュ)で開催された米韓首脳会談の際、李在明大統領の要請によりトランプ大統領が指示した「協議事項」である。共同ファクトシートには「米国は韓国が原子力潜水艦を建造しようとする計画を承認(approve)し、燃料確保案を含め、このプロジェクトの成功のために緊密に協力することに合意した」と明記されている。

昨年10月、韓国の国立慶州博物館でトランプ大統領と首脳会談した李在明大統領(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)

 ただ、率直に言って、原子力潜水艦の導入は米韓原子力協定改定の必要性や米議会の反対ムードなどが障壁になり、当初から実現可能性については極めて懐疑的な見方が多かった。言ってみればこれは、李在明政権にとっては「安保に強い政権」という「宣伝用」であり、トランプ大統領の立場からは巨額の対米投資に対する「リップサービス」と見るのが妥当な懸案なのである。

 その意味で、原潜導入問題よりも李在明政権にとって致命的なのは「戦作権移管」のスケジュールが狂いかねないという点だ。1950年の朝鮮戦争当時、李承晩(イ・スンマン)政権の要請で国連軍司令官が韓国軍に対する戦時作戦権を委任され、実戦経験のない韓国軍は事実上国連軍の指揮下に入った。

 その後の1953年、米韓相互防衛条約が締結され、駐韓米軍の常駐、朝鮮半島有事の際の米軍自動介入、戦時作戦統制権は米韓連合司令官(米国の4つ星将軍で駐韓米軍司令官を兼任)が引き続き担うという韓米同盟の根幹が築かれた。