高市首相、慢心は禁物ですよ?(写真:ロイター/アフロ)
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(立川 談慶:落語家、著述家、筋トレ愛好家)

 いやはや、ふたを開けてみたら衆院選は自民党が圧勝でした。なんと戦後最多の議席数を確保したというではありませんか。あっぱれ、とは思いますが、みなさん、どこかモヤモヤしているのではないでしょうか。

 私の周囲にも、普段は自民党支持ではなかったのに今回は自民に入れたという人が少なからずいますが、その中にはこの結果に驚いている人も少なくありません。「高市さん、なんか明るくがんばっているから応援したくなって」といった漠然とした理由で入れておきながら、いまになって「まさか、こんなに多いとは。なんか怖いわー」などと困惑している様子。

 これって、まるで満員電車に乗りながら「なんでこんなに多いんだ」と、ブツブツつぶやく人みたいですよね。「自分が乗った(投票した)から、さらに多くなっている」わけなのに。

 高市政権には選挙結果を受けて、国民の強い期待に応えるべく、経済、安全保障、外交などで大胆な政策を次々と打ち出し、少しでも我ら庶民の暮らしがよくなるようにしていただきたいと、一国民として願うのみであります。

 が、しかし…。歴史を振り返ってみますと、圧倒的な支持を得た政権がその成功に安住し、油断から失速・転落した例は少なくないことに気が付きます。

 先日、この大勝を伝えるテレビに映った高市さんに、なんとなく笑顔が少なかったなぁと感じたのは私だけではないはずです。そのあたりの怖さを、やはりわきまえていらっしゃるのでしょうか。

 さて、こうした時にこそ、高市さんにはぜひ、我が師匠・立川談志が得意とした古典落語『鼠穴(ねずみあな)』を強烈な戒めとしてお聞きいただければと考えています。

 ちなみに談志は国会議員でもありました。

 当時の沖縄開発庁政務次官を、36日間「も」務めたと、よく弟子たちはネタにしています(37日目に酒を飲んで記者会見に臨み、マスコミから叩かれて辞任しました。今でいうならばまさに「炎上」案件でした)。

 談志は盟友の石原慎太郎氏から、その保守論客的な立ち位置から、政治家としての活動を嘱望されてもいました。

「与野党問わず政治家が一票取ることのつらさを、身に染みて考えてみろ」とはよく言われたもので、弟子たちは選挙応援にも頻繁に駆り出されもしました。

 高座でもマクラで「政治家なんか大した奴が出てくるわけないよ。(周囲を見渡して)こんな中から出て来るんだよ」とも言っていたものです。

 さて、話が脱線してしまいましたが、『鼠穴』はこんな落語です。