突然の失脚が伝えられる張又侠・中央軍事委員会副主席(写真:ロイター/アフロ)
先月24日、200万中国人民解放軍の制服組トップである張又侠(ちょう・ゆうきょう)中央軍事委員会副主席・党中央政治局委員と、戦闘時の現場責任者となる劉振立(りゅう・しんりつ)中央軍事委員会委員・連合参謀部参謀長が失脚。国防部が正式に発表したことで、世界に激震が走った。
これによって、4年前に7人で始まった今期の中央軍事委員会は、習近平主席と、政治将校の張昇民(ちょう・しょうみん)副主席の2人だけになってしまった。制服組は張副主席だけで、しかも「戦闘員」ではない。
北京の街中は普段と変わらぬ光景
こうした「異常事態」にもかかわらず、中国の官製メディアは、つとめて平静を装っている。2月2日から、「春運」(チュンユン)と呼ばれる春節(旧正月)の「民族大移動」の季節が始まった。今年の春節は2月17日で、「春運」は3月14日まで、40日間も続く。
初日の2日は、早くも昨年比13.0%増の1億8791万人が、職住地の地域を越えて移動したという。内訳は、鉄道での移動が1200万人、道路での移動が1億7312万人、船での移動が60万人、飛行機での移動が219万人。
こんなデータを翌日に発表できてしまうことは驚きである。ちなみに李強首相も現在、山東省を視察中だ。
今年の春節初日となる2月2日、北京首都国際空港には大勢の搭乗客の姿があった(写真:新華社/アフロ)
こうして見ると、一部外国メディアが報じていた「戦車部隊が北京に入った」「(軍部隊が集中する)北京西郊の地下鉄がストップした」という類の情報には、信憑性がないことが分かる。実際、私が状況を聞いた北京の人たちも、普段と異なる「緊急事態」を伝えてきた人はいなかった。
それでは、「張又侠事件」を、どう捉えたらよいのだろうか? 「ブラックボックス中のブラックボックス」と言われる人民解放軍の内部で、一体何が起こっているのか?
