「ドル離れ」は米国経済のリスクと直結している(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)
(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)
2月20日、米最高裁は国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ関税について違憲判決を下した。代替関税が一夜のうちに10%と15%の間で右往左往するという混乱は見られるが、違憲判決自体は市場のメインシナリオに沿ったものであり、昨年4月ほどの騒ぎに至っているわけではない。
これは代替関税を前提とすれば、2026年も去年と同じ規模の関税収入が維持できるとベッセント米財務長官が表明したことで、「関税収入不足でも国債増発にはならない」という点に整理がついていることも大きいように思える。
大きな争点として関税収入の減少が米国債利回りを押し上げ、これが株価の大幅な調整をもたらすことが懸念されるが、現時点ではその可能性は低そうに見える。
もちろん、ベッセント財務長官の弁がどこまで信用できるのかは定かではなく、ある程度の国債増発は不可避との懸念もある。だとすれば、高止まりしている米金利はますます下がらなくなる。
また、米金利を不安視するにあたっては、ハードデータの現状にも目を向けたい。2月18日には米財務省から昨年12月分の対内・対外証券投資 (TIC データ)が公表されている。このデータを使えば相互関税発表後に争点化した「ドル離れ」について、4~12月分の資本フローをトレースできるため、簡単に現状を確認しておきたい。